ビザ改正の概要
改正により、経営管理ビザの取得に必要な資本金は現行の500万円から3,000万円に引き上げられ、常勤職員1名以上の雇用が必須となる。また、申請者もしくは常勤職員のいずれかが、日本語能力試験(JLPT)N2相当の日本語力を有することが求められる。
さらに、申請者は3年以上の経営経験、あるいは修士・博士・専門職学位のいずれかを満たす必要がある。
提出する事業計画書には、中小企業診断士や税理士、公認会計士などの専門家による実現性確認が義務付けられる。
改正の主なポイント
●資本金要件の引き上げ:従来の500万円から3,000万円に増額
●雇用義務:常勤職員1名以上の雇用が必須
●日本語能力:申請者または常勤職員のいずれかがJLPT N2相当の日本語力を保持
●経営経験・学歴:3年以上の経営経験、または修士・博士・専門職学位が必要
●事業計画書の専門家確認:中小企業診断士、税理士、公認会計士などによる実現性確認が義務化
背景と政府の狙い
これまでの制度では比較的容易にビザを取得できるため、実態のない「ペーパーカンパニー」の設立や移住目的での悪用が相次いでいた。政府は改正により、不正利用を防ぎつつ、実態のある事業運営を行う起業家の受け入れを促進する方針だ。
また今回の改正は、日本の起業家ビザ要件を他の先進国の基準に近づける狙いもあるという。諸外国では、より高額な投資や事業の実現可能性を厳しく問うのが一般的で、国際競争力を高めるため、真剣に日本経済へ貢献する意思と能力を持つ質の高い起業家を呼び込むための措置と位置づけられている。
行政書士などの専門家からは、経営管理ビザ取得者の家族が「家族滞在」ビザで来日する場合、特に子どもたちの日本語教育などに公的リソースが使われることがあると指摘する。こうした間接的な社会的負担を軽減する狙いも、ビザ要件の厳格化には含まれている可能性がある。
また、資本金3,000万円と常勤職員1名の雇用義務は、規模が大きく、雇用を創出する企業を優先的に受け入れるという明確なメッセージであるようだ。これにより、世界水準の高度人材を呼び込み、日本の産業競争力を高める国家戦略と整合する措置となっている。
施行時期と既存ビザ保有者への対応
改正は2025年10月16日以降の新規申請者に適用される。すでに資格を持つ外国人には3年間の猶予期間が設けられ、期間中に新基準を満たす必要がある。
更新時には税金や社会保険料の納付状況も確認され、出入国在留管理庁は日本で事業を行う意欲と能力を持つ外国人を支援する制度としたいとしている。
起業家への影響とスタートアップビザの活用
資本金3,000万円や常勤職員1名の雇用、専門家による事業計画評価の義務化は、小規模事業者や個人レベルの起業にとって大きなハードルとなる。
しかし、革新的な技術やアイデアを持つ起業家向けには「スタートアップビザ(外国人起業活動促進事業)」があり、最長2年間の起業準備活動ができる。期間中は地方自治体や認定支援機関から、事業計画策定のアドバイスや資金調達、オフィス確保のサポートを受けられる。期間終了後は、原則として経営管理ビザの新要件を満たした上で変更する必要がある。
日本経済への影響
改正により、事業実態のある起業家のみが日本に呼び込まれることで、資金力や経営能力の高いスタートアップの増加が期待されているようだ。これによりイノベーションや雇用創出が促進される可能性がある一方、個人や小規模事業者にとっては新規参入が難しくなるリスクもある。
しかし高資本・高能力の起業家を受け入れることで、海外投資家やベンチャーキャピタルの注目を集めやすく、地域経済やベンチャーエコシステムへのプラス効果も期待されているという。スタートアップビザの活用により、地方でのオフィス設置や雇用創出も進む可能性があるからだ。長期的には、質の高い外国人起業家の受け入れを通じ、グローバル競争力の強化やイノベーションの促進、日本経済の活性化につなげることが狙いのようだ。
THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班
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