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歯の数や状態が、病気の発症や増悪リスクに関わっている
厚生労働省「令和4年国民生活基礎調査」によると、要介護のきっかけとなるおもな疾患には認知症、心疾患、脳血管疾患、骨折・転倒、衰弱、関節疾患があり、これらで全体の4分の3近くを占めます。
認知症は脳神経の問題、脳血管疾患や心疾患は血管の問題、骨折・転倒や関節疾患は運動器の問題……といったように病気により発生源は異なります。しかし、すべての疾患で「歯」の数や状態が、発症や増悪リスクに関与していることが近年の研究で明らかになってきているのです。
〈要介護の原因第1位:認知症〉
要介護の原因として最も多いのが認知症です。高齢化が進む日本では、その増加が特に深刻化しています。
認知症のリスク因子には加齢をはじめ、高血圧や糖尿病などが挙げられていますが、歯の数の減少や噛む力の低下もリスクを高める要因として近年、注目されるようになってきています。神奈川歯科大学が65歳以上の高齢者約4,400人を4年間追跡した調査では、歯がほとんどなく入れ歯(義歯)もしていない人は、歯がほとんどないが入れ歯を使用している人よりも最大1.9倍認知症リスクが高くなることが明らかになりました。
認知症のなかでも最も有病者が多いアルツハイマー型認知症に関しては、2024年に九州大学の研究グループから奥歯の噛み合わせが失われると発症リスクが高まるという研究結果が報告されました。65歳以上の約2万2,000人のレセプトを分析し、奥歯の噛み合わせが良い箇所の数とアルツハイマー型認知症の診断時期とを照らし合わせたところ、奥歯の噛み合わせが良い人に比べ、歯の欠損で噛み合わせが一部悪くなっている人は、認知症の症状が現れるリスクは1.34倍、前歯も含めて噛み合わせがまったくない人では1.54倍にも上ることが明らかになっています。
研究チームは奥歯が失われることで脳血流の減少や栄養状態の低下、会話困難や自信喪失による社会活動の低下などが進みやすくなり、認知症の進行リスクの上昇につながるとしています。
〈要介護の原因第2位:脳血管疾患〉
要介護の原因として2番目に多いのが脳血管疾患です。血管系の疾患には、野菜をきちんと摂ることが予防策の一つになります。野菜に含まれているビタミンやミネラルなどの栄養素が、動脈硬化を予防するよう働くからです。これらは血管に限らず、全身の健康維持に欠かせない栄養素です。
野菜は歯ごたえのある硬い物も多いため、咀嚼し体内に栄養を取り込むにはしっかり噛むことが必要です。したがって、歯の数や機能と脳血管疾患リスクとは関係があると考えられており、国内外で研究の対象になっています。
例えばアメリカで8万人以上の女性を対象とした調査で、歯がない人は25歯以上ある人に比べて野菜や果物の摂取量が少なく、心血管疾患が多いことが明らかになっています。心血管疾患とは心臓の筋肉である心筋に酸素や栄養を運ぶ血管に異常が起こる病気で、脳血管疾患とメカニズムは共通しています。
一方、歯がないとごはんやパンなどの炭水化物の摂取や総カロリーが増えるとの研究報告もあります。例えば国内の調査では、歯科医師会員約2万人を対象にした結果、歯が少なくなると野菜の摂取量が減少し、代わりに米や菓子類の摂取が増えたことが報告されています。
これは、歯の機能を考えれば当然の結果といえます。歯がないと野菜のような硬い物が食べにくくなるので、ごはんやパン、うどんなどの柔らかい物に偏りがちになるのは誰でも想像がつくと思います。その結果、栄養バランスが崩れ動脈硬化などが進み、疾患リスクを高めてしまうことが考えられます。
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