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いつもは断る客引き、でも今日くらいは…
金曜日の夜9時ごろ。マスオさん(仮名/40代)は、都内の繁華街で職場の飲み会が一次会でお開きになりました。
「まだ飲み足りないな。もう少し飲みたいな」と思いながら、駅に向かって歩いていたところ、若い女性から「お兄さん、もう1軒いきませんか? 私みたいな可愛い女の子がいますよ(笑)」と声を掛けられます。普段であれば、適当にあしらうところですが、この日は「たまには、こういうのについていってみるのも一興かな」と思い、「ここから近いならいいよ。もう少し飲みたかったんだ」と返事。女性に導かれるまま、ビルの2階のスナック風の店に入りました。
店は狭くて薄暗く、カウンターが数席と、ボックス席が1つあるようでした。店まで案内してくれた女性の姿はいつの間にかいません。別の女性(推定40歳前後)からボックス席に座るように勧められ、マスオさんはソファー席に腰を下ろしました。そして、女性からビールのようにみえる飲み物を勧められ、口にしたところで、彼の記憶は途切れます。
なにかの間違いでは?
マスオさんが自宅のベッドで目を覚ましたのは、土曜日の正午近くのことでした。着替えてはおらず、金曜日に着ていたスーツのまま。割れるような頭痛がし、過去の二日酔いとは異質の不快感が。そもそも金曜日の夜、二日酔いになるほど飲んでいないはずです。
マスオさんは、自分がどのように帰宅したのか記憶がありません。財布の中をみると、タクシーの領収書が入っていました。どうやら金曜日に飲んでいた場所からタクシーで帰宅したようです。なにか盗まれたり落としたりしていないか確認していたところ、クレジットカードのレシートをみて全身から冷や汗が噴き出しました。
「なにかの間違いでは……?」そこには100万円を超える高額の支払いが記載されていたのです。
レシートに記載されている店の名前は初めて目にするものでしたが、おそらく昨日入ったビルの2階の店だと思い当たりました。店で記憶があるのは、入ってすぐにビールを飲んだところまで。マスオさんは、自分が口にした飲み物がただのビールではなかったのだろうと推測しました。おそらくなんらかの薬物を盛られ、意識がはっきりしないうちに、あの高額なクレジットカード決済をさせられたに違いない、と考えたのです。
すぐにカード会社に電話し、カードが不正に利用される被害に遭ったことを訴えました。一瞬非常に焦りましたが、自分に落ち度がないのだから、カード会社が自分に請求することはないだろうと、それほど心配しないでいたのです。
しかし数日後、カード会社から電話で告げられた言葉に、身体が固まりました。
「本人確認は暗証番号入力でなされているため、カード利用規約により、お客様ご本人の利用とみなします。カード利用代金引落口座のご準備をお願いします」
