(※写真はイメージです/PIXTA)

年金と預貯金を頼りに暮らす高齢者にとって、通帳に記された残高は「安心の証」ともいえる存在です。しかし昨今、知らないうちにお金が減っている、というトラブルに直面する高齢者も増えています。被害が発覚するのは、通帳記帳やATMでの確認時。今回は、75歳の女性が通帳を見て“異変”に気づいたエピソードを通じて、高齢者世帯に潜むリスクと対策を考えます。

任意後見制度や家族信託などの活用も

こうしたリスクを防ぐためには、事前の「お金の管理体制づくり」が重要です。

 

たとえば、認知症などに備えて活用できるのが「任意後見制度」。元気なうちに信頼できる人を後見人として指定し、財産管理の範囲や方法を決めておく制度です。

 

また、「家族信託」も注目されています。これは、信頼する家族に財産の管理・処分を託す仕組みで、契約内容に応じて資金の用途や時期を細かくコントロールできます。

 

ただし、どちらも手続きが必要で、費用や条件もあります。地域の包括支援センターや弁護士などの専門家に早めに相談することが大切です。

 

久子さんは、通帳の明細をもとに智弘さんと話し合い、今後の送金は一度立ち止まって考えることにしました。

 

「息子を責めたいわけじゃないんです。ただ、知らないうちにどんどんお金が出ていくのは、本当に怖い。自分の老後なのに、自分でコントロールできていないようで…」

 

老後資金は、一度崩れはじめると立て直すのが難しいものです。特に年金収入だけに頼る生活では、予想外の出費が命取りになります。

 

通帳をこまめに確認する習慣はもちろんのこと、家族間でも「言った」「言っていない」の誤解を避けるため、メモを残す・同席者を立てるなどの工夫が求められます。

 

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