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元気なうちに終活3点セットがおすすめ
相続人に重度の認知症の人がいる状態で相続が発生すると、相続人たちは非常に困った事態に直面します。そのような事態を回避するためにも、親(被相続人)へのアドバイスとしては、万が一のために事前の準備をすることをおすすめします。
もっとも有効な対策は遺言書です。たとえば、遺言書によって認知症の相続人以外の人に遺産を相続させるのです。遺言書は、遺産の受取人を被相続人が自由に指定でき、法定相続に優先します。ここで誰に何を渡すかを指定しておけば、相続が発生しても、相続人たちが遺産分割協議をする必要がありません。
注意点は、遺言書で特定の相続人だけ有利になったために、不利になった相続人に「遺言書無効の訴え」を起こされるケースもあることです。特に相続人が最低限与えられる「遺留分」に気をつけなければなりません。
特に被相続人が認知症を患っていたケースでは、遺言書を書いたのが認知症の症状が出る前か後かを巡って争うケースが多くなります。
そのほか任意後見人契約を結ぶ、家族信託を利用するなど、認知症の相続人がいても、被相続人が元気なうちにできることは少なくありません。
『親が元気なうちに遺言書で対策を立てる』
1.遺言書で認知症の相続人以外に相続させる
財産を認知症の相続人以外の相続人に渡すように指定します。遺言書は法定相続より優先となるので、きちんとした遺言書を残しましょう。認知症の人は、預貯金の解約や不動産の登記などの申請ができないため、代理人となる成年後見人の支援が必要になってしまいます。認知症以外の相続人に遺産を相続させます。認知症の相続人には金銭を相続させ、生活費に充てられるようにするのも1つの方法です。
2.遺言書で執行者を指定する
被相続人が自由に財産を分配したい場合、遺言書で指定をし、「遺言執行者」を指名します。遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する人で、相続人の代表として不動産の名義変更や預貯金の払い戻し・解約を行うことができるので、認知症の相続人がいても、代わりに各種相続手続きを行うことができます。遺言執行者には、必ず認知症の相続人以外の相続人を指定するのが決まりです。
3.遺言書は公正証書遺言を利用する
さらに確実に相続を実現したい場合は公正証書遺言を利用しましょう。自分一人で書ける自筆証書遺言は手軽ですが、日付がない、署名がないなどの不備があって正式に認められない場合や、遺言書の存在に気づかれない恐れもあります。一方、公正証書遺言は公文書で信用性が高いので、書き換えや隠ぺいの恐れもなく検認も不要です。
『「寄与分」ってどういうこと』
マンガ2の例のように、親の介護を献身的にやってきた子などへは、「寄与分」といって、被相続人の財産形成などに貢献した人に与えられるプラスアルファの相続分をもらえる場合があります。
姉は両親と同居して父の介護を献身的に行い、今度は認知症の母の介護が始まりました。そこにかける時間や労力は、遠方に住む妹にはわかりません。これは、寄与分の規定にある「被相続人の療養看護」に当てはまり、裁判所で認められる可能性があります。
財産が1億円だったとします。姉が被相続人の介護を行ってきた分として1000万円を寄与分とし、残る9000万円を母4500万円、姉と妹で、2250万ずつ分け、姉にはここに寄与分の1000万円がプラスされ、合計3250万円が相続されるというものです。
しかし、寄与分は相続人全員が話し合って決めるものなので、認知症の相続人がいると、認知症の相続人に後見人をつけて遺産分割協議を行って決めていくことになります。なお、相続人以外の親族に対する「特別の寄与」も認められています。
奥田 周年
行政書士
OAG税理士法人 社員税理士
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