(※写真はイメージです/PIXTA)

親が亡くなり、遺産や不動産などを相続する際に、相続人に認知症の人がいると事態が複雑になることが多いそうです。認知症を患うと判断能力が低下するので、遺産分割協議や相続放棄ができなくなり、ほかの相続人が困り果てるというケースも少なくありません。そうした相続のトラブルを避けるためには、親が元気なうちに相続対策を講じることが大切です。本記事では、奥田周年氏の著書『新版 親が認知症と思ったら できる できない 相続』(ビジネス教育出版社)より、認知症になる前にしておきたい相続対策のポイントを紹介します。

ゴールドオンライン新書最新刊、Amazonにて好評発売中! 

富裕層の資産承継と相続税 富裕層の相続戦略シリーズ【国内編】

八ツ尾順一(著)+ゴールドオンライン(編集)

『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【実践編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)

『富裕層が知っておきたい世界の税制【カリブ海、欧州編】』
矢内一好 (著)+ゴールドオンライン (編集)

シリーズ既刊本も好評発売中 → 紹介ページはコチラ!

元気なうちに終活3点セットがおすすめ

相続人に重度の認知症の人がいる状態で相続が発生すると、相続人たちは非常に困った事態に直面します。そのような事態を回避するためにも、親(被相続人)へのアドバイスとしては、万が一のために事前の準備をすることをおすすめします。

もっとも有効な対策は遺言書です。たとえば、遺言書によって認知症の相続人以外の人に遺産を相続させるのです。遺言書は、遺産の受取人を被相続人が自由に指定でき、法定相続に優先します。ここで誰に何を渡すかを指定しておけば、相続が発生しても、相続人たちが遺産分割協議をする必要がありません。

注意点は、遺言書で特定の相続人だけ有利になったために、不利になった相続人に「遺言書無効の訴え」を起こされるケースもあることです。特に相続人が最低限与えられる「遺留分」に気をつけなければなりません。

特に被相続人が認知症を患っていたケースでは、遺言書を書いたのが認知症の症状が出る前か後かを巡って争うケースが多くなります。

そのほか任意後見人契約を結ぶ、家族信託を利用するなど、認知症の相続人がいても、被相続人が元気なうちにできることは少なくありません。
 

『親が元気なうちに遺言書で対策を立てる』

1.遺言書で認知症の相続人以外に相続させる

財産を認知症の相続人以外の相続人に渡すように指定します。遺言書は法定相続より優先となるので、きちんとした遺言書を残しましょう。認知症の人は、預貯金の解約や不動産の登記などの申請ができないため、代理人となる成年後見人の支援が必要になってしまいます。認知症以外の相続人に遺産を相続させます。認知症の相続人には金銭を相続させ、生活費に充てられるようにするのも1つの方法です。

 

2.遺言書で執行者を指定する

被相続人が自由に財産を分配したい場合、遺言書で指定をし、「遺言執行者」を指名します。遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する人で、相続人の代表として不動産の名義変更や預貯金の払い戻し・解約を行うことができるので、認知症の相続人がいても、代わりに各種相続手続きを行うことができます。遺言執行者には、必ず認知症の相続人以外の相続人を指定するのが決まりです。

 

3.遺言書は公正証書遺言を利用する

さらに確実に相続を実現したい場合は公正証書遺言を利用しましょう。自分一人で書ける自筆証書遺言は手軽ですが、日付がない、署名がないなどの不備があって正式に認められない場合や、遺言書の存在に気づかれない恐れもあります。一方、公正証書遺言は公文書で信用性が高いので、書き換えや隠ぺいの恐れもなく検認も不要です。

 

『「寄与分」ってどういうこと』

マンガ2の例のように、親の介護を献身的にやってきた子などへは、「寄与分」といって、被相続人の財産形成などに貢献した人に与えられるプラスアルファの相続分をもらえる場合があります。

姉は両親と同居して父の介護を献身的に行い、今度は認知症の母の介護が始まりました。そこにかける時間や労力は、遠方に住む妹にはわかりません。これは、寄与分の規定にある「被相続人の療養看護」に当てはまり、裁判所で認められる可能性があります。

財産が1億円だったとします。姉が被相続人の介護を行ってきた分として1000万円を寄与分とし、残る9000万円を母4500万円、姉と妹で、2250万ずつ分け、姉にはここに寄与分の1000万円がプラスされ、合計3250万円が相続されるというものです。

しかし、寄与分は相続人全員が話し合って決めるものなので、認知症の相続人がいると、認知症の相続人に後見人をつけて遺産分割協議を行って決めていくことになります。なお、相続人以外の親族に対する「特別の寄与」も認められています。



奥田 周年
行政書士
OAG税理士法人 社員税理士

 

注目のセミナー情報

【海外不動産】12月18日(木)開催
【モンゴル不動産セミナー】
坪単価70万円は東南アジアの半額!!
世界屈指レアアース産出国の都心で600万円台から購入可能な新築マンション

 

【事業投資】12月20日(土)開催
東京・門前仲町、誰もが知る「超大手ホテルグループ」1階に出店!
飲食店の「プチオーナー」になる…初心者も参加可能な、飲食店経営ビジネスの新しいカタチとは?

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

※本連載は、奥田周年氏の著書『新版 親が認知症と思ったら できる できない 相続』(ビジネス教育出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。

新版 親が認知症と思ったら できる できない 相続

新版 親が認知症と思ったら できる できない 相続

奥田 周年

ビジネス教育出版社

ついに認知症1,000万人時代突入……相続トラブルを避けたい! 巻き込まれたくない! 相続手続きをスムーズに進めるための事前準備から“なってしまった”後の対策までマンガやイラストをまじえて、できるだけわかりやすく…

カインドネスシリーズを展開するハウスリンクホームの「資料請求」詳細はこちらです
川柳コンテストの詳細はコチラです アパート経営オンラインはこちらです。 富裕層のためのセミナー情報、詳細はこちらです 富裕層のための会員組織「カメハメハ倶楽部」の詳細はこちらです 不動産小口化商品の情報サイト「不動産小口化商品ナビ」はこちらです 特設サイト「社長・院長のためのDXナビ」はこちらです オリックス銀行が展開する不動産投資情報サイト「manabu不動産投資」はこちらです 一人でも多くの読者に学びの場を提供する情報サイト「話題の本.com」はこちらです THE GOLD ONLINEへの広告掲載について、詳細はこちらです

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録