「導入したシステムがどうも使いづらい」「開発や保守のコストが想定より高い」……それは、あなたがITに詳しくないからではなく、システム開発特有の“見えない”問題が原因かもしれません。本記事では、住田賢司氏の著書『STOP!迷走DX デキる上司のためのITリテラシー改革』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋・再編集して、DXの迷走やシステムトラブルを引き起こす根本的な「3つの特性」について解説します。

ゴールドオンライン新書最新刊、Amazonにて好評発売中! 

『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【基本編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)

『富裕層が知っておきたい世界の税制【カリブ海、欧州編】』
矢内一好 (著)+ゴールドオンライン (編集)

『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【実践編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)

シリーズ既刊本も好評発売中 → 紹介ページはコチラ!

ケーススタディを理解するためのヒント

“システムならでは”の特性には大きく3つあります。

 

①目に見えない

②正解やゴールがない

③デジタルテクノロジーの変化が速い

 

これらの特性によりシステム開発で起こるトラブルの本質が見えにくくなり、結果として適切な判断を難しくします。DXの迷走のきっかけや原因をひもといていくと、これらが隠れていることが珍しくありません。ケーススタディで紹介するエピソードの中にも、この3つが直接的・間接的に関わっているものが多数あります。

特性① 目に見えない

それぞれの特性がどのようにトラブルの要因になるのか、順番に説明していきます。

 

まず、「目に見えない」ですが、システムというのはユーザーからはその実体が見えません。ソフトウエアやアプリなど製品としての形や機能は目に見えますが、その中身(プログラムの構造)がどうなっているのかは見えません。厳密にいえば、無数のコードで組まれたプログラムをドキュメントにして可視化することは可能です。しかし、仮にそれを見たところで、数字や記号が並んでいるだけで意味が分からないでしょう。

 

見えないものはチェックができない

この「見えない」という特性によって、プログラムが正しく組まれているかを発注者が見極めることがほぼ不可能となります。つまり、システム開発会社がきちんとシステムをつくってくれたかどうかを発注者はチェックすることができないのです。

 

納期になっても製品が仕上がってこないので、どこまで進んでいるのかをシステム開発会社に問い合わせたとします。システム開発会社は「全速力でやっていますが、想定外の不可避なトラブルが見つかって、その対応のために予定より時間がかかっています。あと1週間でできます」と答えます。しかし、実際にはエンジニアが別の案件を優先し、こちらのプログラムは後回しになって進んでいない……ということもあり得るのです。

 

製品が出来上がるまで分からない

見えないがゆえに、製品が仕上がってみないと品質が分からないという点も悩ましいところです。システム開発会社に「完成しました」と言われて使ってみると、「欲しかったのはこれじゃない」となってしまうことも日常茶飯事です。確かに発注者が入れてくれと言ったデータ類は取り込んであるし、自動計算などもやってくれるけれども、目的の数字が見つけにくいし、とにかく使いづらい。「新人でも直観的に使えるシステムが欲しいのだけど……」と言うと、「こちらは言われたとおりにやりました!」と不機嫌になるパターンもあります。

 

複雑化や老朽化、属人化に気付けない

目に見えないからこそ、システムが複雑化していることや老朽化していることに気付けないケースも多発しています。

 

さらに、システムの動作(見える部分)は同じでも、プログラム(見えない部分)が違うことは珍しくありません。すると、システムを組んだ本人にしかプログラムを読み解けず、システムが属人化します。属人化するということは、そのエンジニアがいなくなるとシステムが手に負えなくなるということを意味します。

 

言葉で説明しようとすると誤解が生まれがち

目に見えないシステムを、システムに詳しくない人に理解してもらうためには、言葉で分かりやすく説明するしかありません。しかし、「システムとは何か」を説明することは至難の業です。説明する側のコミュニケーション能力の問題というよりは、「システムとは何か」の定義や概念を的確に表現する語彙がそもそもないという問題が大きいです。

 

システムはほかの何にも似ていないので、例えを使って説明したり、何かと比較して考えたりといったことが難しいのです。

 

システム開発会社は発注者(システムに詳しくない)に言葉であれこれ説明して分かってもらおうとするのですが、的確な語彙がなかったり、専門用語でしか表現できない内容があったり、例え話がうまく通じなかったりなどして正しく伝わらず、発注者が誤った理解をしてしまうことがあります。例えば、システム開発会社側が言う「保守運用」の範囲と、発注者側が理解しているそれとが違っていて、「この作業は保守運用に当たるか否か」のトラブルになったりします。保守運用の範囲内であれば月々の保守運用費の中で対応してもらえますが、保守運用の範囲外であれば追加費用が発生するからです。

 

こんなふうに「見えない」ということは、システム開発のあらゆる場面でコミュニケーションのずれを生む原因となるのです。

 

【12/18(木) 『モンゴル不動産セミナー』開催】

坪単価70万円は東南アジアの半額!! 都心で600万円台から購入可能な新築マンション

次ページ特性② 正解やゴールがない/特性③ デジタルテクノロジーの変化が速い
STOP!迷走DX デキる上司のためのITリテラシー改革

STOP!迷走DX デキる上司のためのITリテラシー改革

住田 賢司

幻冬舎メディアコンサルティング

あなたの会社のDX――担当者に任せっぱなしになっていませんか? DXプロジェクトを監督すべき立場の経営者や部門責任者に向けた、正しい決裁をするために必要なIT知識と判断力の重要性をまとめた一冊! DXに悩む経営層・…

カインドネスシリーズを展開するハウスリンクホームの「資料請求」詳細はこちらです
川柳コンテストの詳細はコチラです アパート経営オンラインはこちらです。 富裕層のためのセミナー情報、詳細はこちらです 富裕層のための会員組織「カメハメハ倶楽部」の詳細はこちらです 不動産小口化商品の情報サイト「不動産小口化商品ナビ」はこちらです 特設サイト「社長・院長のためのDXナビ」はこちらです オリックス銀行が展開する不動産投資情報サイト「manabu不動産投資」はこちらです 一人でも多くの読者に学びの場を提供する情報サイト「話題の本.com」はこちらです THE GOLD ONLINEへの広告掲載について、詳細はこちらです

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録