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DXの成功確率は2~3割!!
2000年代以降、市場のグローバル化や労働力不足、消費者のニーズや価値観の多様化などが加速し、企業はビジネス環境の急激な変化と不確実性に直面しています。業績は良いのに人手不足で仕事が回らず黒字倒産を余儀なくされたり、情報化社会で人々の興味・関心の移り変わりが早いために、最近まで主流だったビジネスモデルが急速に陳腐化していったり、あるいはAIの進化と普及によってAIに仕事を奪われる業種が出てきたり……。
こうした状況に柔軟に対応するため、企業には変革が求められています。その変革の柱として提唱されているのがDXです。DXは単なるデジタル活用にとどまらないビジネスの革新や文化・人材の変革などをもたらします。
「DX動向2024」(独立行政法人情報処理推進機構)を見ると、7割以上の企業が何らかのかたちでDXに取り組んでいると答えています(図表)。そのうち「成果が出ている」と回答した割合は約6割でした。
ただし、この数字にはDXの途中段階も含まれています。レポートを読み進めていくと、DX推進の3段階(デジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーション)のうちデジタルトランスフォーメーションを達成しているのは3~4割程度です。 DXに取り組んでいる企業全体からすると、DXに成功しているのは2~3割ということになってしまうのです。
貴重な予算や人材を投資してDXに取り組んだのに、成果が得られず迷走する企業の姿が見えてきます。
DXが人任せになってしまう 経営者・部門責任者側の事情
DXが企業の業績に直結する重要課題である一方で、自社のDXプロジェクトに自ら積極的に関わりたいと考えている経営者や部門責任者はあまり多くないようです。
今、経営者や部門責任者として活躍している人の多くは、パソコンも携帯電話もなかった時代に育ったアナログ世代だと思います。生まれたときからインターネットやパソコンなどのデジタル機器が身近にあったデジタルネイティブ世代とは違って、デジタルそのものに苦手意識がある人が多いのではないでしょうか。私は仕事柄たくさんの経営者や部門責任者と知り合う機会がありますが、頭が切れてバリバリ仕事のできる人でも「デジタルは難しい」「自分には理解できない」と敬遠する姿をしばしば見てきました。
その苦手意識の結果、社内のDXプロジェクトは「自分の専門外」という考えになってしまいます。「デジタルが分からない自分が関わるより、ITに詳しい社員に任せたほうがいい」という判断から、パソコン好きの若手社員がIT担当に抜擢されるなどして、「ITまわりは君に任せたからヨロシク」「報告だけはしてくれよ」という流れになってしまうのが多くの企業でのパターンです。
DXプロジェクトでは多くの場合、ソリューションの一つとしてシステム開発をすることになりますが、プロジェクトのトップであるはずの経営者や部門責任者は基本的にノータッチで、IT担当者とシステム開発会社に任せることになってしまいます。そして、自分の元に上がってくる報告や書類だけで重要な判断をしがちです。中には見積書の金額だけ見て、「もっと安く抑えられないのか。この金額では承認できない」と却下したり、開発費を抑えるために必要な機能を独断で削ってしまったりする経営者や部門責任者もいます。システムの中身のことは分からないので、金額にだけ注目して少しでも安く済ませようと考えてしまうのです。

