(※写真はイメージです/PIXTA)

東京都内で暮らす松村充希さん(35歳・仮名)は、都内の通販メーカーに勤める共働き妻。同じ年の夫はCMディレクターで世帯年収はおよそ1,400万円と仕事も家庭も順調だと思っていました。あの日、夫の口から「俺のほうが稼いでるんだぞ」という言葉が出るまでは。その瞬間から、充希さんのなかで“離婚へのカウントダウン”は静かに始まったのです。

「収入差で分担を変える」6割が賛成、でも女性は複雑

同調査によると、「収入差で共働き生活の家事育児分担を変えること」に賛成する人は60.2%。ただし、性別で見ると男性は64.9%、女性は51.6%と、女性のほうが賛同率が低くなっています。


「収入差で共働き生活の家事育児分担を変えること」に賛成と回答した266人にその理由を聞くと、「稼ぐ方が仕事に集中した方がいい」が47.7%で最多となり、次いで「効率よく家庭を回せる」が31.2%、「時間、体力差での分担が合理的」が29.7%となりました。反対と回答した176人にその理由を聞くと、「責任は収入関係なく共有」が49.4%で最多となり、次いで「収入差での分担は不満が出る」が44.9%、「両者が両立意識を持つべき」が43.8%となりました。

 

「夫に“俺のほうが稼いでる”と言われるたびに、自分の価値を否定されたようで苦しくなります。お金じゃなくて、生活を一緒に支える姿勢を見たかった。子どもが寝たあと、ひとりで片づけをしていると、『この人と同じ方向を向いていない』と感じてしまうんです」と充希さんは語ります。

 

「共働き=平等」ではない現実

調査では、「共働きが前提になったことでキャリア選択に影響がある」と答えた人も67.2%にのぼりました。


特に女性では73.9%が「影響がある」と回答しており、「転職や昇進に慎重になる」「働く時間や場所に制約を感じる」といった声が多く見られました。さらに、「共働き=男女平等が進んでいると思わない」と答えた人も47.3%に達しています。

 

充希さんもこう語ります。


「時短勤務を続けるうちに、昇進のチャンスも自然と減っていくのを感じます。育児を理由にキャリアを諦めたくないけれど、現実は“できることしかできない”と割り切るしかない。そんな自分に時々、悔しさを覚えます」

 

「共育」社会への転換が求められる時代に

厚生労働省は、これまでの「イクメン」プロジェクトを「共育」へと改称し、男女が共に育児・家事を担う社会を目指しています。それでも家庭の中で、収入や働き方の違いを理由に“見えない格差”が生まれているのが現実です。

 

「私はもう一度、自分の人生を立て直したい。離婚がすべての答えではないけれど、子どもに“お母さんが笑っている姿”を見せたいと思うようになりました。幸い、実家は埼玉なので実家にいったん身を寄せて都内に通勤することも可能です。実家の両親も戻っておいでと言っているので、近々夫に離婚を切り出すつもりです」と充希さん。

 

充希さんのなかで離婚へのカウントダウンはすでに始まっています。

 

[参考資料]
パーソルキャリア株式会社 Job総研「2025年 共働き意識調査」

 

 

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