(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢者の一人暮らしが増え続けています。中でも注意すべきは「貯金はそれなりにある」「年金も毎月もらえている」という“安心感”が、いざという時の資金不足を見落とすリスクにつながることです。とくに介護が必要になったとき、想定外にお金が出ていくケースは少なくありません。

制度だけでは足りない“現実”

介護保険制度では、要介護2で在宅介護を行う場合、1ヵ月あたり約19万6,000円(全国平均)までのサービス利用が原則1~3割負担で受けられます。しかし、ここに含まれない出費(通院・オムツ・住宅のバリアフリー工事など)はすべて自己負担です。

 

また、生活援助の回数制限など、「制度はあるのに足りない」という矛盾に直面する家庭も少なくありません。

 

「ケアマネさんからは“この範囲内でやりくりするしかない”って言われました。母にとっては厳しい現実です」

 

「結局、誰かが“想定外”を受け止めるしかないんです。私も、もっと早く“家計シミュレーション”をしておけばよかったと後悔しています」

 

絵里さんは現在、成年後見制度の利用も視野に入れつつ、社会福祉協議会の貸付制度なども調べているといいます。

 

「安心って、制度だけじゃ得られないんだなって思いました。情報を自分から取りに行かないと、何も始まらない。今は、母に“自分らしい生活”を最後までしてもらうために、何ができるかを考え続けています」

 

年金があるから大丈夫、貯金があるから安心――。そう信じていても、「在宅介護が始まった瞬間に、家計が崩れる」というケースは少なくありません。

 

老後資金は、健康な状態の生活費だけではなく、「介護期」の想定も含めた計画が求められます。親の年金額、介護保険の限度額、自費負担の内容など、“今ある数字”と“これから必要なお金”を見える化することが、将来の安心につながります。

 

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