ふたたび、施設への入所を決断
半年後、正一さんは再び施設入所を決断。今回はショートステイではなく、長期入所です。
「ごめんな、また施設に戻すことになって…」
澄子さんはうっすらと笑って、「ありがとう」と答えたといいます。その言葉に、正一さんは救われたような気がしたと語ります。
厚生労働省によると、要介護3以上の高齢者の在宅介護率は年々減少しています。在宅介護を選ぶ家庭は多いものの、身体的・精神的負担が限界に達し、再び施設入所に至るケースが少なくないのです。
在宅介護を支える制度として、「訪問介護」「訪問看護」「デイサービス」などの介護保険サービスが整備されていますが、利用回数や時間には制限があり、家族による「無償ケア労働」に大きく依存しているのが現実です。また、夜間や緊急時の対応は難しく、介護者の高齢化も課題となっています。
「自宅で看る」ことは、愛情と覚悟に支えられた尊い選択です。しかし、それがすべての家庭にとって最善であるとは限りません。介護に正解はなく、「できる限りやったうえで、任せる勇気」もまた、大切な決断です。
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