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エゴにとらわれ最悪の結末まで考えた私が学んだこと
これは、エゴによりネガティブな感情に引き込まれてしまった私の実体験です。
30歳のとき、私は日本で2社を経営していたほかに、アメリカでも会社を立ち上げていました。設立のきっかけを与えてくれたのは、ギャング時代の仲間たちです。
19歳で来日したときは、ほんの1カ月ほどでカナダへ戻って、またギャング仲間との日々を過ごそうと思っていましたが、結局、日本でビジネスを始めた私が、カナダに戻ることはありませんでした。それがなんとなく仲間を裏切っている気がして、罪悪感を抱いていました。
仲間たちのなかには人の道に反するような事件を起こして、刑務所に入った者もいる。命を落とした者もいる。残った仲間たちをそんな周波数の低い世界から脱出させたかったけれど、全員を来日させることは難しい。そこで、アメリカに会社を作って仲間に社長になってもらったのです。
最初の2年間、業績は順調そのものでしたが、その後、いくつかの要因が重なって急に悪化してしまいました。アメリカの会社を軌道に乗せるために、日本の2社からの資金もつぎ込んでいたので、1つの会社のつまずきで、すべてのビジネスが苦しくなっていきました。
守らなければならない社員もいるし、家族もいる。苦しいなかで新しい会社を立ち上げるべきなのか、もし倒産したら働いているスタッフたちはどうなるのか。最悪、大切な家族まで路頭に迷わせることになったとしたら―――。
毎時間、毎秒襲ってくる重度の不安と恐怖で、私は次第に衰弱していきました。の診断は、重度の臨床的うつ病および不安症。抗不安薬を服用しないと、オフィスに行くことも眠ることもできませんでした。
活動不足とうつ病の薬のせいで、身体はむくみ、太り、弱くなりました。「自殺したら保険で借金がカバーされるか」と、保険会社に問い合わせたことさえありました。これらすべてのシナリオが、昼間に起きている間じゅう、ずっと頭の中で繰り返され、心配から逃れられる唯一の場所は、薬のおかげで眠れた時間だけでした。
ある日、私はビジネスパーソンとしての自尊心を捨てました。「社長というエゴ」の仮面を脱ぎ捨てたのです。破産寸前の私は、覚悟を決め、当時のスタッフ全員を集めました。会社の現状を正直に告白し、「もう一度、私にチャンスをください」と、頭を下げてお願いしたのです。給与の支払いがいつになるかさえ分からない状況でしたが、オフィスを安いアパートに移し、経費を削減すれば、なんとか2カ月以内には支払えるだろうという見通しを、彼らに伝えました。
その直後に起こったことは、私の想像を超えたものでした。「なぜ、もっと早く私たちに打ち明けてくれなかったんですか?」
スタッフ全員が、そう言ってくれたのです。彼らは続けました。「どんな環境になろうとも、私たちはあなたを応援します」
彼らの言葉は、私の胸に熱く響きました。それまで、私は孤独な闘いを強いられていると感じていましたが、彼らの言葉によって、自分は一人ではないと気づかされたのです。私は心の底から決意しました。
「もう一度、立ち上がろう。彼らとともに、この困難を乗り越えよう」
そのためには、まず、心身ともに健康を取り戻さなければなりません。私は、生活習慣を根本から見直し、いくつかの新たなルーティンを取り入れました。すると、数カ月のうちに、私の精神状態は劇的に改善し、身体の健康も回復していきました。そして、ビジネスもまた、徐々に上向き始めたのです。
結局、アメリカの会社は倒産という結果になりました。しかし、不思議なことに、私が恐れていたようなことは、何も起こりませんでした。私がなによりも恐れていたのは、これまで良好な関係を築いてきたスタッフや取引先の方から、こんなふうに思われてしまうことでした。
「会社を潰すなんて、あいつは能なしだ。社長失格だ」
「あの社長を信頼したのは失敗だった」
「自分たちを裏切るなんて、なんてひどい人間だ」
しかし、これらの言葉は、誰の口からも発せられることはありませんでした。
この経験を通して、私はビジネス、そして人生における真実を学びました。すべては、自分のエゴが作り出した幻だったのです。恐怖も、不安も、周囲の評価も、すべては心の内で膨らませた物語にすぎませんでした。そして、その物語は、自分自身の力で、いろうどくくらでも書き換えることができるのです。私は、エゴという名の牢獄から解放されました。そして、真の自由を手に入れたのです。アスリートも「エゴ」と闘っている自らの経験を通して、私はエゴをコントロールすることの重要性を痛感しました。それはもちろん、私に限った話ではありません。ほかならぬアスリートもまた、常に自分の内なるエゴとの闘いを繰り広げているのです。
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