「あるはずのお金が…」娘の動揺
「父の通帳を開いたとき、正直、背筋がゾッとしました」
そう語るのは、都内在住の主婦・木村沙織さん(仮名・45歳)。先月亡くなった父・隆志さん(享年79歳)の遺品整理を進めるなかで、家族が誰も知らなかった“事実”に直面したといいます。
「父は生前、『貯金は1,800万円あるから心配しなくていい』とよく言っていたんです。実際、年金も月15万円ほどあり、持ち家に1人暮らし。とくに贅沢な暮らしでもなかったので、そのくらいはあるんだろうなと信じていました」
ところが、父の部屋の引き出しにあった通帳を確認したところ、そこに記載されていたのは――
「残高72,356円。何かの間違いかと思って、別の通帳も確認しましたが、どれも似たような残高ばかり。複数あった口座をすべて合わせても、100万円にも届きませんでした」
一気に不安が押し寄せた沙織さんは、過去の入出金履歴をさかのぼって確認し始めました。
「毎月5〜10万円単位でATMから現金が引き出されていて、使い道が不明なまま。クレジットカードの履歴もほとんどなく、どこで何に使ったのか…」
定期的に家電量販店での出金があったものの、家に新しい家電が増えている様子もなかったそうです。
「介護が必要な状態でもなかったですし、まさか誰かにだまされていたのではと疑ってしまいました」
さらに、隆志さんの郵便物のなかに、複数の消費者金融からのDMも見つかりました。
こうしたケースは、決して特別ではありません。
高齢者の中には、昔の記憶や概算で“今ある資産”を語っている場合も多く、通帳管理が本人任せになっていると、家族がその真偽を確認する術が限られます。特に、複数口座を持っていたり、ネットバンキングを利用していたりする場合、情報が散在してしまうことも。
