ゴールドオンライン新書最新刊、Amazonにて好評発売中!
『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【基本編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)
『富裕層が知っておきたい世界の税制【カリブ海、欧州編】』
矢内一好 (著)+ゴールドオンライン (編集)
『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【実践編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)
シリーズ既刊本も好評発売中 → 紹介ページはコチラ!
不調を改善する切り札「メンタルの体温」
日本のビジネスパーソンは、諸外国と比べて不安を多く抱えているのか?
メンタルに深刻なトラブルを抱えている人が多いのか?
カナダにルーツを持ち、10代までカナダで育った私は、日本でよくこうした質問を受けます。実際に比較するのは難しいですが、日本のビジネスパーソンが抱える「不安の質」が諸外国とは異なることを強く感じます。
海外のビジネスシーンでは、多くの人が未来への希望を胸に、グローバルな舞台での活躍を夢見ています。一方、日本のビジネスパーソンには、あらかじめ敷かれたレールのような未来に、静かな絶望感を抱いている人も少なくありません。子どもの頃から「周囲に迷惑をかけないように」と教えられ、与えられた道を歩むことが美徳とされてきたことも、その背景にあるでしょう。リスクよりも安定を重視する――。こうした価値観は日本人の人間性や社会の安定に寄与してきましたが、同時に挑戦意欲を鈍らせる一因ともなっているように感じます。
私は、企業の代表としてアスリートを支えると同時に、メンタルトレーナーとして彼らの心身を観察してきました。その経験から見ると、30代・40代という働き盛りのビジネスパーソンのなかにも、すでに心身をすり減らしている人が少なくないと感じます。実際に、私自身もその年代にビジネスで大きな挫折を経験し、深刻な心の病から立ち直った過去があります。だからこそ、誰もがメンタルヘルスの危機に直面する可能性があると強く思いますし、そしてそれを乗り越える力もまた、誰もが持っていると確信しています。
では、こうした危機を乗り越える鍵とはなんでしょうか。私自身の経験に加え、トップアスリートたちの姿から導き出せるひとつの答え―――それが、「メンタルの体温」です。
体温と聞くと、通常は健康状態のバロメーターとしての「身体の体温」を思い浮かべる人が多いでしょう。しかし私は、比喩的な意味で、メンタルにも確かに「体温」が存在すると考えています。例えば、大事なプレゼンテーションを前に緊張で胸が高鳴ったり、逆にリラックスして穏やかな気持ちになったりすることがあります。そんな心の状態を、私たちは「熱意」「冷静さ」といった言葉で表現します。これこそが、メンタルの体温なのです。
私が考える「メンタルの体温」とは、心のエネルギー状態を可視化する指標です。それは、身体の体温が健康状態の目安となるように、精神の状態を知るバロメーターでもあるのです。身体はウイルスに冒されると体温を上げ、免疫を活性化させてウイルスを撃退します。同じように、ストレスという心のウイルス”にさらされたとき、私たちのメンタルも体温を上昇させます。これは自己防衛本能が働き、心が臨戦態勢になっている状態です。
身体の体温上昇が免疫力を高めるように、メンタルの体温の上昇も精神力を強化し、ストレスに打ち勝つ力を生み出すのです。
ただし、身体の体温が高すぎると悪影響が出るように、メンタルの体温も過度になると問題を引き起こします。冷静な判断力が失われ、気合ばかりが空回りし、焦りや不安に支配される――それはまさに「メンタルの高熱」といえる状態です。一方で、メンタルの体温が低すぎると、精神活動を支えるエネルギーが不足し、意欲や集中力が著しく低下します。まるで身体が冷え切って動けなくなるように、メンタルも思考停止や無気力に陥ってしまうのです。
最高のパフォーマンスを発揮するには、メンタルの体温を「平熱」よりやや高めに保つことが望ましいのです。この状態は、モチベーションを高く保ちつつも心は安定し、冷静さと集中力を両立させた理想的なメンタル状態を指します。この基盤があれば、たとえ一時的に調子が乱れても、意識的に整えることで精神状態を回復させ、再び高いパフォーマンスを維持することができます。
メンタルの体温を意識することは、自己管理能力を高め、ストレス社会を乗り越えるための重要なスキルです。日常のなかで自分の心の状態に気を配り、最適なコンディションを保つことで、私たちは常に最大限のパフォーマンスを発揮できるのです。
ビジネスは、競争相手よりも早く、正確に判断・決断を繰り返すことが求められる世界です。そこでは、間違いを減らし、より多くの正しい選択をすることが成功の鍵となります。スポーツや音楽に天賦の才があるように、ビジネスにもまた直感を信じて決断する力”という才能があります。先の見えないなかでも、自分の判断を信じ、前向きに意思決定ができなければ、大切なタイミングを逃してしまうのです。
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
