(※写真はイメージです/PIXTA)

中小企業の税務調査が、まもなくオンラインで完結する時代が訪れる。2025年7月から一部国税局で先行導入が始まった新たなデジタル環境により、法人・個人を問わず、資料提出や面談をオンラインで行える仕組みが整えられようとしている。対応を誤れば負担が増す可能性もあるため、事前の準備が重要だ。※本連載は、THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班が担当する。

国税庁と納税者間のデータのやり取りを行うプラットフォーム「GSS」

オンライン税務調査の中心的な仕組みが、国税庁と納税者間のデータのやり取りを行うプラットフォーム「GSS(Government Solution Service)」。中小企業は、この仕組みに対応するための資料整理や情報管理体制を整え、税理士と連携して備える必要がありそうだ。

 

GSSは、国や地方公共団体が共通で利用する業務環境であり、国税庁では納税者とのデータのやり取りを効率化するクラウド型プラットフォームとして運用されている。中小企業にとっては、税務調査がオンラインで行われる際に対応を求められる仕組みである。

 

国税庁によると、GSSでは調査官とのやり取りをクラウドやWeb会議、メールで行えるほか、大容量の帳簿や証憑もオンラインで提出可能であり、暗号化や閉域ネットワークによって情報漏洩リスクの低減にも配慮されているという。

2026年3月以降、全国の税局で導入予定

これまでオンライン税務調査は大企業や特定法人に限られていたが、今後は法人・個人を問わず対象が拡大する。

 

経営者が押さえておくべきポイント

 

・調査の事前通知は従来どおり電話で行われる

・資料提出や面談は納税者の同意があればオンライン化可能

・希望しない場合は従来どおり対面で対応できる

 

2025年7月に金沢国税局・福岡国税局で先行導入が始まり、2026年3月以降には全国の税局で導入される予定である。中小企業経営者は、メールやオンラインストレージでの資料提出に備え、社内体制を整えることが重要だ。

「KSK」から「KSK2」へ刷新された、国税庁の基幹システム

2026年9月から、国税庁の基幹システム「KSK」が「KSK2」に刷新される。KSK2では、税務データ管理の効率化や電子処理の精度向上が図られる。

 

刷新に伴い、法人税・所得税・消費税などの税目別データが横断的に統合され、申告書や帳簿などもAI-OCRによって自動的にデジタル化される。また、システムのオープン化により、調査官は出先からクラウド経由で資料を確認できるようになり、税務調査の迅速化が進むことが見込まれる。

 

中小企業経営者にとっては、電子提出に対応した社内体制を整備することが求められるだろう。税理士との連携や帳簿・申告書類のデジタル化・整理を事前に進めておくことが、オンライン調査の負担を軽減する上で不可欠のようだ。

 

中小企業が取るべき対応策

 

・資料のデジタル化・整理

帳簿や申告書類を電子化し、オンライン提出に備える。

・担当者・税理士との連携強化

GSSやKSK2の仕組みを理解し、対応方法を事前に相談する。

・情報管理体制の見直し

社内PCやクラウド管理体制の安全性を確認し、情報漏洩リスクを最小化する。

 

GSSの先行導入(2025年7月)とKSK2への刷新(2026年9月)は、税務調査のオンライン化を象徴する取り組みとされる。中小企業経営者にとって、オンライン税務調査への対応は避けて通れない課題であり、事前に資料の整理や情報管理体制を整え、税理士と連携することが負担軽減の鍵となりそうだ。
 

 

THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班

 

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