(※写真はイメージです/PIXTA)

インボイス制度の導入(2023年10月)から2年を迎えようとしている。日本商工会議所が公表した「インボイス制度等に関する実態調査(2025年9月)」によると、導入後に「事務負担が増えた」と回答した中小企業は全体の7割を超えた。経理体制が脆弱な小規模事業者では、代表者自身が経理を兼務するケースも多く、制度対応の余力が限界に近い状況が浮き彫りになっている。※本連載は、THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班が担当する。

登録は進むも「事務コストと引き換え」

日本商工会議所と東京商工会議所が実施した調査(全国2,710社、調査期間6月23日~7月31日)によると、インボイス制度導入により73.4%が「事務負担増加」、45.8%が「コスト増加」と回答した(複数回答)。システム改修や税理士費用、請求書管理などの事務作業が増えたことが要因とされる。

 

制度導入前に免税事業者だったBtoB取引中心の事業者の約8割(78.6%)は登録を済ませた一方、BtoC取引中心の事業者では24.6%にとどまり、登録判断は取引業態によって大きく分かれている。

 

また、登録後に価格交渉を行った事業者のうち約8割(76.9%)が値上げを実現したが、「交渉を持ちかけづらい」「取引が減るリスクがある」との声も根強く残っている。

「2割特例」終了への不安

インボイス登録事業者のうち約7割(68.6%)が「2割特例」を適用している。この特例は、免税事業者がインボイス登録した場合に、納税額を売上税額の2割に軽減する措置で、2026年9月末で終了予定だ。

 

登録事業者のうち93.5%が「スムーズに申告できた」と回答した一方で、「インボイス事業者になったことで消費税負担が利益を圧迫している」との声も多く、特例終了後の税負担増を懸念する事業者が少なくない。商工会議所には「現行特例の延長や恒久化を求める」「申告事務の簡素化を」といった要望が寄せられている。

小規模企業の現状

売上高1,000万円以下の事業者の約8割は「経理1人(または代表者が兼務)」と回答。帳簿・試算表を毎月作成していない事業者も約3割に達した。

 

また、インボイス対応の電子ツールを導入していない企業は約86.9%にのぼり、ペーパーレス化も進んでいない。現場では「紙の請求書を手作業で確認」「取引先の登録番号を都度チェック」といったアナログ業務が続いている。

制度設計への「不満」と「要望」

自由記述で多く寄せられた声は以下の通りだ。

 

「登録番号の確認や記載要件のチェックが煩雑」

「制度の説明が難しく、取引先とのトラブルも」

「免税事業者との取引を見直すか悩ましい」

 

現場の声からは、制度そのものへの理解不足だけでなく、“中小企業のバックオフィス格差”という構造的課題も浮き彫りになった。

事務負担・コスト増解消が課題

インボイス制度は「税の透明性」向上を目的として導入されたが、現場では事務負担・コスト増が深刻だ。商工会議所は「小規模事業者への支援強化、制度運用の簡素化が急務」と指摘している。

 

国税庁は2026年度にかけて電子インボイス(Peppol標準)の普及促進を図る構えだが、デジタル対応が遅れた事業者が取り残される懸念もある。制度の“定着”には、単なる周知だけでなく、現場負担を軽減する実務的支援が不可欠のようだ。インボイス制度の定着には「税の透明化」と「中小企業の事務効率化」の両立が鍵となるだろう。

 

 

THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班

 

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