ドル安推進のトランプ政権「米国債」購入に30%課税案も…揺らぐ“安全資産”の地位。世界一の保有国・日本に広がる混乱

ドル安推進のトランプ政権「米国債」購入に30%課税案も…揺らぐ“安全資産”の地位。世界一の保有国・日本に広がる混乱
(※写真はイメージです/PIXTA)

日本は世界で一番多くのアメリカ国債を保有する国であるため、超大国の動向をきちんと追うことが重要になります。アメリカ国債は世界で最も安全な資産の一つとして考えられていますが、金保有に乗り換えられる可能性も囁かれているなど、その地位は揺らぎ始めています。その渦中で、トランプ政権がアメリカ国債の購入に30%課税を検討し、ドル安を推進しようとする意図はどこにあるのでしょうか。本記事では、中林美恵子氏の著書『日本人が知っておくべきアメリカのこと』(辰巳出版)より、日本人が資産防衛をするうえで知識としてプラスとなる「アメリカの今」について解説します。

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アメリカ国債の世界最多の保有国は「日本」

ところで、世界で最も多くのアメリカ国債を保有している国は日本です。2番目は中国+香港で、3番目がイギリスです。アメリカの同盟国である日本やイギリスはともかく、中国が膨大なアメリカ国債を保有していることは、アメリカにとって脅威以外の何ものでもありません。それは極論すれば、アメリカが中国から借金をしているようなものだからです。

実は、諸外国がアメリカ国債を購入するのにはいくつかの理由があります。自国によい投資先がなかったり、安定資産が欲しいということ。もう一つは、対米貿易での黒字分をアメリカ国債の購入にあてているということです。

たとえば、日本企業がアメリカに輸出した商品は、アメリカ国民がドルで買います。日本企業には「ドル」が入金されるわけです。その分を「円」に替えて日本に送金することもできますが、日本国内に投資先が見つからなかったり、円を買えば円高になるので、アメリカ国内で安定的な国債を買っているのです。

また、国債には金利が付いています。アメリカは金利分を国債保有国に支払わなければなりません。たとえば、2024年度(2023年10月〜24年9月)の債務の利払いは初めて1兆ドルを超え、大きな問題になりました。

さらに、アメリカ国債を保有している国は、いざとなればそれを売り浴びせることもできます。しかし、そんなことをすれば、国債は暴落し、債券市場は大打撃を受け、世界経済は大混乱に陥りかねません。そのようなことが起こるかどうかわかりませんが、危険な状況に近づいているという指摘もなされています。

そこで、ミランCEA委員長は、諸外国がアメリカ国債を購入する際には30%課税するという案を提起しています。そうすれば、諸外国はアメリカ国債をそれほど買わなくなるのではないかということです。当然のことながらドル需要が減少し、ドル安になります。ドル安になれば、輸出が増えて、輸入は減ります。アメリカの製造業は甦るというわけです。

要するに、貿易の不均衡の結果としてアメリカ国債が海外に買われ、その分の金利を海外に支払うというお金の垂れ流しが起きていて、何のためにアメリカ人は働いているのかわからない、というのがトランプ政権の考え方の根底にありそうです。


中林 美恵子
政治学者
早稲田大学教授
公益財団法人東京財団理事長

 

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※本連載は、中林美恵子氏の著書、『日本人が知っておくべきアメリカのこと』(辰巳出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

日本人が知っておくべきアメリカのこと

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混迷する時代を生きる私たちが、アメリカをより深く知ることで、日本社会のあり方や日本人の資産を防衛することにもつながります。 トランプ再登場後のアメリカの向かう先とそこから見えてくる今後の日本とはーー。

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