物価上昇が〈実態よりも苦しく〉感じられる理由。日米のデータで示す“統計の妙”…「体感」指標にトランプ政権も熱視線

物価上昇が〈実態よりも苦しく〉感じられる理由。日米のデータで示す“統計の妙”…「体感」指標にトランプ政権も熱視線
(※写真はイメージです/PIXTA)

物価上昇のニュースを見聞きした際、「生活がまた苦しくなる」と反応する人は多いでしょう。物価が上がれば、家計を圧迫することにつながるため、消費者心理としては「統計データの数値よりも実際は苦しい」と感じる傾向にあります。そうした消費者が感じるギャップを数値として示すのが「体感」指標です。日米の異なる調査において、この「体感」指標に関する類似の結果が報告されています。本記事では、中林美恵子氏の著書『日本人が知っておくべきアメリカのこと』(辰巳出版)から、日本人の資産防衛においても参考になるアメリカ経済について解説します。

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「金融」が大きな比重を占めるアメリカ経済

収益を上げている「ペンションファンド(年金基金)」

アメリカ経済は「金融」で成り立っていると考えても、あながち間違いではありません。人々の生活面では「金融」が大きな比重を占めているからです。その代表的なものが、ペンションファンド(年金基金)です。

ペンションファンドとは、公的年金や企業年金などを運用する機関で、日本には「年金積立金管理運用独立行政法人」(GPIF)があります。アメリカには、連邦政府が、連邦職員・軍人向けに退職貯蓄制度を管理する独立機関「Federal Retirement Thrift Investment Board」や、州政府、地方自治体、さらには民間企業が運営する様々なペンションファンドがあります。

ペンションファンドは、株式や債券、不動産などの資産に投資して収益を上げ、年金受給者の将来の年金給付を支えています。一例を挙げると、つい最近、筆者の友人のオハイオ州立ヤングスタウン大学教授から定年退職するという連絡を受けました。彼は、60代そこそこで、リタイアするにしては早すぎるような気がしました。そこで、事情を聴いてみると、州の年金基金に加入していて、退職しても現役時代とほぼ同額の年金を受け取ることができるというのです。

州は年金基金の運用を金融の専門家に委託し、専門家は株や債券などに投資して収益を上げ、州の基金を膨らませているということなのです。ことほど左様に、アメリカ経済は「マネー・エコノミー」化しているということです。

アメリカの景気動向を示す様々な指標

「マネー・エコノミー化」しているアメリカ経済では、景気動向を示すために、ダウ平均株価、ナスダック総合指標、S&P500指標などが使われています。

「ダウ平均株価」は、ニューヨーク証券取引所に上場する代表的な30社の平均株価をリアルタイムで公表する、アメリカの代表的な株価指数です。「ナスダック総合指数」は、電子株式市場「NASDAQ」に上場している3000社以上の銘柄すべてを対象に算出した指数です。

「S&P500指標」とは、ニューヨーク証券取引所やNASDAQに上場している企業の中から代表的な500社を選出し、その銘柄の株価をもとに算出される株価指数です。2025年の4月に、相互関税に関するトランプ大統領の発表に反応して、S&P500指標が急落しましたが、第1期トランプ政権の2018年には、9月に最高値を付けた後、10月から12月にかけての2カ月間で約20%暴落したことがありました。

その時トランプ大統領は、様々な「口先介入」を行いました。「口先介入」とは、当局者が発言を通じて市場参加者の心理に影響を与え、相場を誘導しようと試みる行為のことです。結果的に12月には株価が上がっていきましたが、S&P500指標に関しての語り草の一つになっています。

そのほかにも様々な指標があります。たとえば、VIX(Volatility Index) は、シカゴ・オプション取引所(CBOE)が算出・公表している指数で、S&P500株価指数を対象とするオプション取引から、将来30日間に予想される「変動率」(ボラティリティ)を示しています。VIXは、将来の相場に対する投資家の不安や警戒心などの心理を反映する指数とされており、「恐怖指数」(investor fear gauge)とも呼ばれています。

 

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※本連載は、中林美恵子氏の著書、『日本人が知っておくべきアメリカのこと』(辰巳出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

日本人が知っておくべきアメリカのこと

日本人が知っておくべきアメリカのこと

中林 美恵子

辰巳出版

混迷する時代を生きる私たちが、アメリカをより深く知ることで、日本社会のあり方や日本人の資産を防衛することにもつながります。 トランプ再登場後のアメリカの向かう先とそこから見えてくる今後の日本とはーー。

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