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統計データ以上に大きくなる「体感」指標
興味深い指標をもう一つ紹介します。それは、「体感」指標です。日本でも、2019年12月に、経済産業省が、「消費者の購買心理や体感物価を捉える新たな指標を開発しました」と発表していますが、「体感」は、消費者の購買心理や体感物価などを捉える新たな指標です。たとえば、日本の消費者物価指数は、2023年から2024年にかけて、降下しています(図表1)。しかし、国民の「体感」としては、ほぼ高止まり状態であることが見て取れます。
同じような状況がアメリカでも観測されています。たとえば、2024年の大統領選挙で民主党が敗北した要因の一つに「体感」指標が関係しているといわれています。公式の物価統計や雇用統計よりも、卵や牛肉の価格、あるいはガソリン価格の上昇のほうを人々はより身近に感じます。
そのため、物価上昇の「体感度」は統計データ以上に大きくなるというわけです。経済的なデータだけに基づいて経済政策を策定してしまうと、政党への支持率は下がってしまうということで、トランプ政権は「体感」指標に敏感な政策運営をしようとしています。
株価にも影響を与えるトランプ大統領の発言
2025年4月9日、トランプ大統領は、90日間の関税停止を発表する少し前に、トゥルース・ソーシャルで「アメリカの株は今が買い時」とつぶやいたことがありました。するとそれから数時間後に、ダウ平均株価やナスダック総合指標が史上最高の上げ幅を記録したのです。
トランプ大統領の投稿を見た人は早々に株を買ったでしょうし、株価が上がってから売り抜けて大儲けをしたかもしれません。そこで、これはほとんど「インサイダー取引」による株価操作ではないかと訝る声もありました。民主党の上院議員たちは「公聴会を開いて調査をすべきだ」とも言っています。場合によっては、司法に訴えるという行動を起こすかもしれません。
ただし、トランプ大統領は、特定の人に教えたのではなくて、全国の人に向けて言葉を発信したわけです。したがって、「インサイダー取引」とはいえないかもしれません。百歩譲ってインサイダー取引ではないとしても、トゥルース・ソーシャルを見なければ株価の動向がわからないとなれば、トランプ氏が大株主でもあるトゥルース・ソーシャルの利用者を増やすことになり、利益誘導だという批判はありえます。

