母の決断——「もう支えられない」
澄子さんは、市の社会福祉協議会に相談しました。職員からは「家計が赤字なら、支援を打ち切って構いません」と助言され、正式に息子へ仕送り停止を伝えました。
「息子は怒りました。でも、もう限界だったんです。あのとき決断していなかったら、今頃自分が生活保護を受けていたかもしれません」
現在、息子は自治体の就労支援制度を利用してアルバイトを始めています。親子の関係はぎこちないままですが、少しずつ会話を取り戻しつつあるそうです。
親が子を助けることは自然なことです。しかし、「援助が続くことが本人の自立を妨げる」場合もあります。
老後資金を削る前に、
●自治体の生活支援・就労支援制度の活用
●社会福祉協議会・地域包括支援センターへの相談
●家計の「見える化」と支援額の上限設定
といった方法で、「支援の線引き」を行うことが大切です。
「もう息子を信じられない」と語った澄子さん。それでも最後にこう続けました。
「信じることと、頼らせることは違うんですね。やっとそれが分かりました」
親子の絆を守るためには、時に“支援をやめる勇気”も必要なのかもしれません。
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