(※画像はイメージです/PIXTA)

米ドル円相場の動向に影響を与えそうな「先週(10月13日~10月17日)の米国経済の動き」について、東京海上アセットマネジメントが解説します。

先週は、「米政府機関閉鎖」の影響などに注目

10月1日から始まった米政府機関の一部閉鎖は長期化する様相を強めています。政府閉鎖の影響により経済指標の公表が延期されており、いずれ公表されるデータでは、政府閉鎖による経済的な影響が示される可能性があります。

 

特に速報性の高いデータとして、月次の雇用統計は政府閉鎖の影響をいち早く確認できる指標になると予想されます。

 

雇用統計では、調査対象週である12日を含む週(10月雇用統計の調査対象週は10月12日~17日)まで政府閉鎖が続くと、その影響が10月雇用統計の結果に反映されることになります。以下では、どのような影響が出てくるか考察したいと思います。

 

出所:Bloomberg (注)17日10時時点のデータ。コントロールグループは、自動車、建設資材、飲食店、ガソリンスタンドを除く小売売上高 (*)は米政府機関の一部閉鎖の影響で公表が延期
[図表1]先週の主要経済指標 出所:Bloomberg
(注)17日10時時点のデータ。コントロールグループは、自動車、建設資材、飲食店、ガソリンスタンドを除く小売売上高
(*)は米政府機関の一部閉鎖の影響で公表が延期

一時帰休75万人が失業者扱いに…政府閉鎖が統計に与える影響

議会予算局(CBO)によると、今回の政府閉鎖では「一時帰休もしくは無給で働き続ける人」は190万人を超え、このうち、一時帰休を命じられている政府職員が約75万人と推計されています(図表2)。

 

出所:米労働省より作成
[図表2]政府閉鎖時の雇用統計上の政府職員の扱い 出所:米労働省より作成

 

これらの政府職員の雇用統計上の扱いは、家計調査(失業率や労働参加率を計算する調査)と事業所調査(非農業部門調査や平均時給を計算する調査)で異なります。前者では「労働の有無」で分類され、後者では「給与の有無」で判断されます。

 

過去の政府閉鎖では、政府職員の給与は後払いされるケース(一時帰休でも休暇として扱われる)が多いため、2018年12月から2019年1月までの過去最長の35日に及んだ政府閉鎖では、事業所調査における雇用の下振れはほとんど確認できませんでした。

 

一方、労働の有無で判定される家計調査では、一時帰休と命じられた政府職員は失業者として扱われるため、2018年12月~2019年1月の政府閉鎖時には失業率が上昇傾向だったことが確認できます(図表3)。

 

出所:米労働省
[図表3]政府閉鎖による失業率への影響 出所:米労働省

 

今回は一時帰休が75万人とされており、労働力人口が一定であることなどを前提とすると、失業率は政府閉鎖前(8月)の4.3%から10月には4.6%へ急上昇する計算になります。

 

もっとも、政府閉鎖が解除されれば、一時帰休中の政府職員は職場復帰することになるため、失業率は低下することになります。

 

こうした政府閉鎖による雇用統計への影響について、FRBはノイズとして判断するとみられ、年内の追加利下げを妨げる要因にはならないとみています。

 

 

東京海上アセットマネジメント

 

※本記事は東京海上アセットマネジメントの「TMAMマーケットウィークリー」の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が文章を一部改変しております。

※全文は「TMAMマーケットウィークリー」をご確認ください。

 

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※本連載は、東京海上アセットマネジメントのレポート『〜TMAMマーケットウィークリー(10/6〜10/10)~』より一部を抜粋し、再編集したものです。
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