日銀支店長会議や自民党総裁選後の政局などに注目
10月29日、30日の金融政策決定会合前に開催される日銀支店長会議は、日銀が米国による関税賦課の影響を見極める上で、1日に公表された短観(9月調査)と並ぶ重要なものと位置付けられます。
支店長会議における報告によると、賃金設定面では、「先行きの賃金設定について、各国の通商政策の影響や海外経済の減速等により企業収益が大きく下振れた場合には、賃上げを抑制せざるを得ない」との声があがった一方、「人手不足感の強さや最低賃金の引き上げ、最近の食料品を中心とする物価上昇等を受けて、引き続き高めの賃上げが必要」とする声もあったとみられます。
ただし、短観では米国による関税賦課の影響が懸念される中でも、設備投資計画は堅調かつ経常利益計画も底堅い結果であったことに鑑みれば、2026年春闘の賃上げ率も高水準を維持できそうな状況といえます。
価格設定面では、「仕入コストや人件費、物流費等の上昇を転嫁する動きが続いているとの報告が多かった」とみられます。今回の支店長会議での報告内容を見る限り、関税賦課後も、企業の賃金・価格設定行動が積極化している状況は維持されており、10月会合での追加利上げをサポートする内容といえます。
4日投票の自民党総裁選では、小泉氏優勢との事前の下馬評を覆す形で高市氏が勝利し、新総裁に選出されました。今後のスケジュールとしては、党役員人事を固め、臨時国会での首相指名を経て、総理大臣に就任、高市内閣が発足する見通しです(図表2)。
高市氏は、少数与党の現状を打開するための連立拡大に意欲をみせているものの、公明党が自民党に対して企業献金の規制強化や裏金問題の全容解明を厳しく要求しつつ「連立離脱」もちらつかせているほか、国民民主党や日本維新の会との連立協議も、政策協調などに相応の時間を要するとみられます。高市政権の発足が遅れれば、ガソリン税の暫定税率廃止などの物価高対策の策定が後ろ倒しになる可能性があります。
仮に、高市政権となっても自公連立が決裂すれば、国会での予算や法案の成立は一段と困難になります。
東京海上アセットマネジメント
※本記事は東京海上アセットマネジメントの「TMAMマーケットウィークリー」の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が文章を一部改変しております。
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