(※写真はイメージです/PIXTA)

離れて暮らしている高齢の親。電話では元気そうでも、実際に家を訪ねると生活の破綻や孤立の兆しが一目で分かる——そんなケースは珍しくありません。本記事では、仕送りのやり取りを続けてきた79歳の母に違和感を覚え、54歳の息子が“アポなし帰省”で目の当たりにした現実と、そこからの立て直しの過程を見ていきます。

扉を開けた瞬間、空気が止まった

「ガチャ…」

 

玄関の鍵はかかっていませんでした。扉をわずかに押し開けると、湿った空気がまとわりつきます。足元には未開封のチラシや封筒が積もり、ダンボールが細い通路のように連なっていました。

 

「…母さん?」

 

奥の居間から返ってきたのは小さな声。「誰も来ないと思ってたから、散らかしちゃって…ごめんね」

 

冷蔵庫には飲みかけのペットボトルと調味料。電子レンジの上に積まれた未開封の健康食品。電気のブレーカーは一部だけ落とされ、エアコンは壊れたまま。「電気代がもったいない」と母は笑いましたが、笑いは弱々しく、頬はこけています。

 

事の発端は数週間前。「少し、仕送り増やして」とだけ書かれた母のメッセージでした。年金は受け取っているはず、家賃もかからない持ち家。これまでの仕送りで足りない理由が分からず、54歳の広志さん(仮名)は不信感を拭えませんでした。

 

帰省して通帳とクレジット明細を一緒に確認すると、毎月の健康食品の定期購入、見守りをうたう謎のサブスク、訪問販売で契約した高額な浄水器のリース。小さな引き落としが幾重にも重なり、家計をじわじわと圧迫していました。

 

「電話で“今だけ”“特別に”って言われると断りづらくてね。息子に迷惑をかけたくないから、黙ってたの」

 

居間の隅には転倒防止に置いたというスツール。浴室の床にはすべり止めシート。母は「大丈夫」と繰り返しましたが、買い置きはカップ麺ばかりで、タンパク質の食材は見当たりません。

 

「最近は出かけるのが怖くて。近所の人にも会わなくなって、宅配ばかり。つい、電話が友だちみたいで…」

 

外出が減ると、栄養が偏り筋力は落ちます。人との接触が減ると、判断力が鈍り勧誘や契約のリスクが高まる。孤立は、家の散らかりと出費の増加という“見えるサイン”として表れます。

 

 \1月20日(火)ライブ配信/
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