(※写真はイメージです/PIXTA)

ここ数年、ふるさと納税は寄付額に応じて「ポイント還元」が受けられることから、節税効果とあわせて人気を集めてきた。しかし、2025年10月1日の制度改正により、ポータルサイトによるポイント付与は原則禁止に。定着していた「節税+返礼品+ポイント」というトリプルメリットの終焉で、ふるさと納税の利用環境は大きく変化した。今回は、改正後の現状と寄付者が知っておくべきポイント、さらに年末に向けた駆け込み対策を整理する。※本連載は、THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班が担当する。

ポータルサイトのポイント還元、完全廃止

2025年10月から、「楽天ふるさと納税」「ふるなび」「さとふる」「au PAYふるさと納税」などの主要ポータルサイトによるポイント還元はすべて廃止された。

 

具体的には以下のケースが禁止対象となる。

 

●楽天市場で寄付をして楽天ポイントを獲得する場合

●PayPayふるさと納税でボーナス還元を受ける場合

●au PAYふるさと納税でPontaポイントが貯まる場合

●特定期間の“高還元キャンペーン”で寄付額の数%が還元される場合

 

一方で、クレジットカード会社の通常の決済で付与されるポイントは例外として継続されているため、寄付時にカード決済を行えば通常ポイントは引き続き獲得可能だ。

改正の背景と制度の趣旨

総務省は、近年のポイント競争の過熱と、自治体財政への影響を踏まえ、制度の健全化を目的として改正を実施した。

 

これまで、どのサイトで寄付すると最もポイントが得られるかを基準に寄付先を選ぶケースが増え、制度本来の趣旨である「応援したい自治体への寄付」が歪められてきたというのが理由のひとつだ。

 

また、ポータルサイトへの手数料支払いや返礼品コストが膨らむことで、実際に地域に残るお金が減少し、都市部の大手ECプラットフォームに寄付金が吸い上げられる構造が問題視されていた。

ポイント廃止後の寄付者への影響

ポイント還元がなくなったことで、寄付の「お得感」は減少した。

 

たとえば、以前は10万円の寄付で自己負担2,000円に加え、1万円相当のポイントを得ていたケースがあったが、現在は純粋に自己負担2,000円のみとなる。

 

さらに、ポイントサイト経由での追加還元も廃止されているため、寄付金の一部を実質的に取り戻す仕組みは完全に排除された。しかし、制度の透明性は高まり、寄付者は返礼品や自治体の魅力を基準に寄付先を選ぶようになった。結果として、“本当に応援したい自治体”を見つける機会が増える可能性がある。

年末に向けた駆け込み寄付の注意点

年末は、ふるさと納税の控除対象期間に合わせた「駆け込み寄付」が増える時期である。

 

2025年も同様に、12月にかけて寄付件数が集中することが予想される。人気の返礼品は在庫切れになる可能性が高く、発送が遅れるリスクもあるため、計画的に早めの寄付を検討することが望ましい。

 

また、寄付額が所得控除上限を超えた場合、超過分は自己負担となる点にも注意が必要だ。多くのポータルサイトにある「寄付上限シミュレーター」を活用して、家族構成や年収に応じた控除上限を確認しておくことが重要である。

2026年10月以降も規制強化へ

総務省は2026年10月以降、返礼品の「地場産品要件」をさらに厳格化する方向で検討している。地域外から仕入れた食材や、市外で加工された製品は返礼品として認められにくくなる見通しだ。また、宿泊や体験型返礼品も、地域との関連性や実施体制が問われるようになる。

 

ポイント還元は消滅したものの、制度の本質は「地域への応援」であり、返礼品やポイントはあくまで手段にすぎない。むしろ今回の改正を契機に、寄付者は「なぜこの地域を応援したいのか」を改めて考えることができる。地域に根ざした生産者や自治体の努力に目を向けることで、ふるさと納税はより持続可能で健全な形へと進化していくことが期待される。

 

 

THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班

 

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