制度改正への動き、高市氏の決断で一気に加速へ
自民党の高市早苗総裁は、就任直後の記者会見で「生活に直結するエネルギー価格の負担を和らげる」として、ガソリン税の旧暫定税率を廃止する方針を明言した。従来、与野党間でガソリン税の見直しは協議されてきたが、高市氏の決断により、年内の制度改正に向けた動きが一気に加速する見通しだ。
物流ジャーナリストの坂田良平氏は、ガソリン税の旧暫定税率を廃止する方針について「旧暫定税率は本来『暫定』であり、いずれ廃止されるべきものです。高市氏は総裁就任、さらには総理大臣就任に向けた政策アピールとして、あえて課題に挑む形ですが、この決断が吉と出るか凶と出るかは見通せません」と指摘する。
「暫定税率は日本国民が税制度に対して抱く不信の象徴です。1974年の導入時には2年間の期限付きでしたが、50年以上も維持されています。加えて、度重なる税率アップや一般財源化(2009年)、消費税との二重課税問題など、不信感は増すばかりです」(坂田氏)
成立すれば、年間1兆5,000億円規模の税収減に
高市氏は、関連法案を臨時国会で成立させる方針で、成立すればガソリン・軽油合わせて年間1兆5,000億円規模の税収減が見込まれる。地方税収の一部も含まれるため、自治体財政への影響も避けられない。
最大の焦点は財源の確保だ。与党内では「恒久的な減税には裏付けとなる増収策が不可欠」との声が根強い。一方、野党は企業向け優遇税制や金融所得課税、自動車関連税の見直しなどを候補に挙げ、当面は税収の上振れ分を活用すればよいとの立場を崩していない。
坂田氏は「課題となる1.5兆円の減収への対応を国民が納得できる形で示せなければ、総理就任に向けた愚かなばらまき政策と見なされても仕方ありません」と警鐘を鳴らす。
また坂田氏は道路財源との関係にも言及する。
「1970年代の導入時には新設道路整備の財源として説得力がありましたが、現在は補修・維持がメインで、人口減少下の日本では全国の道路インフラを維持する財力はありません」(坂田氏)
制度の適用は来年以降となる見込みで、当面は国の補助金を上積みし、実質的に減税と同水準まで価格を引き下げる方針だ。高市氏は「補正予算に必要な経費を盛り込み、速やかに国民生活を下支えする」と説明する。
巨額の税収減をどう補うか
物流業界への影響も無視できない。全国トラック協会によれば、運送会社における燃料費の割合は平均14.9%で年々上昇している。旧暫定税率廃止による減税効果があっても、新たな税制度(走行距離課税や重量課税など)が導入されれば、逆に負担増につながる可能性があるという。
「50年間放置されてきた暫定税率の廃止は必要ですが、必ず痛みを伴います。全国民が納得できる新たな税制の創設も容易ではありません。痛みを恐れず、未来を見据えた新たな税制設計ができるかどうかが、高市政権の姿勢を占う試金石となるでしょう」(坂田氏)
生活者には即座に恩恵が及ぶ一方、巨額の税収減をどう補うかが課題となる。ガソリン減税を突破口に、新政権は財政運営の難題に直面することになりそうだ。
THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班
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