事業承継に悩む経営者に有効な法人保険の活用法
事業承継に悩む経営者は少なくありません。とくに株式は、会社を支配する権利であると同時に、個人財産でもあります。現預金や不動産のように単純に平等相続できるものではなく、ほかの財産よりも相続税負担が重くなる場合もあります。
こうした課題の解決策として有力なのが、法人保険への加入です。本記事では、事業承継に詳しい公認会計士の視点から、具体的な活用法を解説します。
1. 事業承継を検討する際の基本視点
事業承継を考える際には、次の3つの側面から検討することが重要です。
事業性:会社そのものが存続可能か
経営者の老後生活:経営者自身の生活や家族の将来
承継手続き:株式の承継方法や遺産分割の整理
たとえば、家電販売や住宅リフォームを手がける中小企業では、省エネ対策や太陽光発電リフォームなどで利益が増加している場合、株式価値も将来的に上昇する可能性があります。この場合、株式の相続に伴うリスクも考慮しておく必要があります。
★相続・事業承継における法人生命保険の活用法について詳しくはYouTubeをチェック!
経営者必見!法人生命保険で相続と事業承継をスムーズに進めよう
2. 経営者の死亡リスクへの対応
経営者が死亡した場合、会社の存続や家族の生活に大きな影響が及びます。従業員だけで事業を継続できない場合、会社は倒産の危険にさらされ、従業員は失業します。また、経営者が会社の借入金の連帯保証人となっている場合、残された家族が多額の債務を負うリスクもあります。
こうした死亡リスクに備えるため、法人契約の生命保険に加入することが有効です。法人契約とは、会社が保険料を支払い、死亡時に会社が保険金を受け取る契約のことです。これにより、残された家族や従業員の生活を守りながら、会社の借入金返済にも充てることができます。
3. 相続リスクへの対応
会社の株式は、利益の増加に応じて価値が上昇します。たとえば、現在1億円の株式が将来2億円、3億円に上がる可能性もあります。この場合、後継者が株式を承継すると、ほかの相続人との遺産分割において不公平が生じることがあります。
こうした相続リスクを緩和する手段としても、法人保険の活用が有効です。法人保険で保険金を受け取ることで、株式を承継する後継者以外の家族に現金を渡すことが可能になります。
特に「長期平準定期保険」を活用すると、保険料の一部を経費として計上できる場合があり、税務上のメリットも期待できます。また、経営者が事業承継後に退職する際には、解約返戻金を財源として退職金に充てることも可能です。解約返戻率はおおむね80%程度ですが、法人税の課税繰延べ効果もあり、トータルでお得な方法といえます。
一方で、解約返戻率を100%以上にしたい場合は、終身保険が選択肢となります。ただし、終身保険では課税繰延のメリットはありませんので、目的に応じて商品を選ぶ必要があります。
岸田 康雄
公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
★社長必見。相続や事業承継にまつわるリスクへの備え方について詳しくはYouTubeでチェック!
【生命保険】相続も事業承継も一発解決!法人保険で守る社長の未来
動画はこちら>>>
