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ビジネスDDで重視する「4つ」の視点
調査の観点は大きく4つに分かれます。各視点で得られた情報は、最終的な買収判断や戦略に直接影響します。
1．外部の事業環境
市場規模、成長率、競合他社の状況を調査し、対象事業の市場での立ち位置を確認します。また、売上やコスト構造の変化、原材料価格の影響なども分析し、将来の収益性を予測します。
2．内部の経営資源
対象事業の人材、設備、資材、業務プロセスをチェックします。品質・コスト・納期（QCD）や、人・機械・材料・方法（4M）の観点から分析し、業務効率や生産性の向上余地を評価します。加えて、情報システムやデータ管理の状況も確認し、統合後に問題が生じないかを検討します。
3．ガバナンスの視点
経営体制や意思決定プロセス、子会社管理の仕組みが適切かどうかをチェックします。特に、決裁権限や内部統制の整備状況、法令遵守体制の確認は、将来のリスク回避に直結します。
4．シナジー効果の可能性
自社との統合で売上や利益を増加させる可能性を評価します。具体的には、製品やサービスのクロスセル、共同調達によるコスト削減、人材や技術の活用など、統合後にどの程度の価値向上が見込めるかを検討します。
ビジネスDDをスムーズに進める「3ステップ」
外部の事業環境を調査する場合、一般的には以下の3ステップで進めます。
1．市場と事業の評価
対象事業が属する市場の将来性、競合との比較、強みや弱みを分析します。単独で経営を継続できるか、環境変化に耐えられるかも重要なポイントです。
2．事業価値向上の可能性分析
単独での売上拡大やコスト削減の余地、自社との統合で生まれるシナジー効果を評価します。ここでは、場合によってはシナジー効果がマイナスになる可能性も考慮し、対象事業の経営陣と議論することが不可欠です。
3．事業計画の修正
受け取った事業計画が現実的かを確認し、改善点があれば修正します。このとき、将来予測の損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書を作成して、買収後の課題や事業価値の向上策を検討します。
ビジネスDDがM&Aの成功率を高めるワケ
ビジネス・デュー・ディリジェンスは、単に買収価格を決定するためだけの作業ではありません。対象事業を深く理解し、買収後の戦略を策定するための重要なプロセスです。適切に実施することで、リスクを事前に把握し、M&Aの成功確率を高めることができます。
また、事業の競争力を強化し、将来的な成長を実現するためにも不可欠です。
M&Aの成否は、DDの質に大きく左右されるといっても過言ではありません。事前の徹底的な調査と分析こそが、企業価値の最大化につながるのです。
岸田 康雄
公認会計士／税理士／行政書士／宅地建物取引士／中小企業診断士／1級ファイナンシャル・プランニング技能士／国際公認投資アナリスト（日本証券アナリスト協会認定）
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