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何を考えているかわからない32歳の部下だったが…
堀内隆之さん(52歳)は東京都内で小さな広告代理店を経営しています。経営者の堀内さんはこれまでにいろいろな人を見てきたといいますが、堀内さんが会社員時代に少しだけ面倒を見ることになった部下・関俊介さん(仮名)のことは特に印象に残っていると言います。
堀内さんによると、関さんと初めて会ったのは15年前のことでした。堀内さんは37歳。関さんは32歳で、年収は400万円くらい。会議ではほとんど発言せず、どこかぼんやりした印象の若手社員でした。
「正直、関君は出世街道からは外れた存在に見えました。というか、今まで評価のテーブルに乗るような仕事を任されていなかったんです」と堀内さんは振り返ります。
その頃、堀内さんは営業部の部長として30人の部下がいました。関さんは隣の部署の社員で、存在は知っていたものの、話したことも一緒に仕事をしたこともなかったと言います。ある時、社内で新規事業が立ち上がることになり、堀内さんは新規事業部の部長に抜擢されました。堀内さんのもとにも何人かの社員が異動してくることになり、そのうちの1人が関さんだったのです。
堀内さんは部下とも濃密にコミュニケーションをよるタイプ。関さんのことを何を考えているかわからないタイプだと思いつつも、ある日ランチに誘いました。そこで、「新規事業を考えろと言われても、正直何をすればいいかわからない。関君、何かアイディアはないかな?」と何の気なしに聞いてみました。
すると関さんは、「新規事業だからと言って、堅苦しく考えなくていいと思います。この会社に何があればいいかを考えませんか。僕、ちょっと考えてみます」と答えたのです。
堀内さんは当時、「関にしては妙に偉そうだな」と感じたそうです。しかし、次の定例ミーティングで関さんは「どんな予算をとって、何を作るか」という具体的な構想を持って現れました。それは誰も予想できない突拍子もないアイデアだったのですが、経営陣は「それは面白いな。いけるんじゃないか?」と乗り気で、関さんのアイデアがプロジェクトとして採用されたのです。
関さんは総指揮を任されると、指示待ちだった性格から一変し、メンバーを引っ張り、リーダーシップを発揮しました。堀内さんは「人は役割次第でここまで変わるのか」と驚いたと言います。プロジェクトは成功を収め、関さんの社内評価も一気に高まりました。
