弟の名を呼んでニコニコする父に、複雑な思い
「施設の入所について父に何度説明しても、ポカーンとしていて。本当に不安でしたが、入所当日は、施設の若い男性職員を見たら目を真ん丸にして〈隼人、隼人! 久しぶりだなぁ~。元気だったか? お嫁さんはどうしてる?〉って、すっごく愛想よくしゃべりかけて。そのあと、ニコニコしながら手を引かれて施設のなかへ行っていきました。私を振り返ることは、一度もありませんでした」
武さんはその後、問題を起こすこともなくすっかり施設の生活になじんでいます。
「弟にも入所を知らせましたが、面会に行った様子はありません。私が父を訪ねると、〈看護婦さん、看護婦さん〉と愛想よく呼びかけ、〈これから息子が来るんだ~〉と目尻を下げています。娘の顔と名前は忘れているんです。本当にばかばかしいですね」
陽子さんは、自分の人生について改めて考え直したいといいます。
日本では急速に高齢化が進展し、介護が必要な高齢者はさらに増えていきます。頼りになる社会保障制度は存在しますが、それだけで十分とはいえず、仕事と介護の両立で疲弊する人は決して少なくありません。1日も早く、社会全体で介護を支える体制を築くことが不可欠だといえます。
[参考資料]
株式会社LIFULL/LIFULL 介護『介護施設入居実態調査 2025』
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