会社に相談後、父は介護施設へ入所させることに
同僚に伴われ、上司に事情を伝えたところ、仕事内容や勤務時間など、しばらくの間、柔軟に対応してもらえることになりました。
陽子さんは、同僚に相談に乗ってもらいつつ、父親に特別養護老人ホーム(特養)へ入所してもらうことにしました。
【老人ホーム入居時の年齢・要介護度】
●年齢
70歳未満…28.0%
70~74歳…10.4%
75~79歳…9.0%
80~84歳…16.3%
85~89歳…15.5%
90歳以上…16.7%
わからない…4.2%
●要介護度
自立…5.2%
要支援1、2…15.9%
要介護1…18.9%
要介護2…19.3%
要介護3…14.7%
要介護4…8.9%
要介護5…5.3%
わからない…3.2%
出所:株式会社LIFULL『介護施設入居実態調査 2025』
特養は、認知症や身体的な問題を抱える高齢者に専門的なケアを提供する公的な施設で、民間施設に比べ費用が安くなっています。武さんの年金は月16万円、手取りで14万円弱でしたので、問題なく月額費用を賄えそうでした。
原則、介護保険の要介護認定で「要介護3」以上であることが入所条件なのですが、認知症などの場合、要介護1・2でも特例で入所が認められることがあります。
「お父さんがかわいそう」「じゃあ自分で見ればいいでしょ!」
「電話に出てくれない弟に、手紙で父のことを事後報告したら、すぐ電話がかかってきました。〈どうしてそんなことするの、かわいそう!〉だって…」
穏やかな陽子さんもさすがにカッとしました。
「じゃあ、あなたがお父さんの面倒を見ればいいでしょ?」
「姉貴が同居してるんだから、責任はすべて姉貴にあるだろう!」
「はぁ!? 子どもの責任は同じでしょ? そんなにお父さんがかわいそうなら、これからあんたの家に連れて行くから!」
……プツッ。
電話は切れてしまいました。
