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起業マインドが形成されやすい文化とは
米国では上場していない企業でも資金調達が比較的容易である。しかし、資金があればそれだけで起業できるかといえば、そんなことはない。なんといっても米国は、起業マインドが形成されやすい文化を持つことも大きいと考えている。
投資の授業や、起業の訓練をするような授業も一般的で、企業がこうした教育を支援するケースも多いし、逆に企業からの依頼を受けて子どもたちが新規事業創出にチャレンジするという授業もよくみられる。このため、数学や化学のような一般的な科目を勉強しているときでも、子どもたちの頭には学んだこと・思いついたことをそのまま起業につなげようという発想も生まれやすくなっている。
起業する人が多ければ、当然失敗するケースも多くなるので、失敗を経験した起業家というのも多く存在することになる。米国はこうした失敗に寛容で、むしろその失敗経験がその人の糧になると評価されるので、なおさらチャレンジしやすい。
日本の場合は優秀な子どもに対し、周囲は学校の勉強を積ませて成績を上げ、東大など有名大学に進学させようとするのは周知のとおりだ。そこからコンサル会社や投資銀行、官僚、医師といったコースに進むのがお決まりで、彼らの意識のなかに起業という選択肢はあまりない。そもそも、親や大学など周囲の大人は「新卒」という有利なカードを最大限利用できる「就職」をさせようと促している。実際、日本の教育は減点主義なので、失敗を許容しにくい。小さい頃からこうした減点主義を叩たたき込まれていては、起業などという道はまず選べないだろう。なにしろ起業のほとんどはうまくいかないので、失敗を許容できない人がわざわざその道を選ぶ理由はまったくないからだ。
しかし米国では、基本はゼロからスタートする加点主義である。満点などなく、ひたすら積み上げることができるので、優秀な子はどこまでも進んでいく。起業だってゼロからのスタートなので、失敗してもゼロに戻るだけであり、ダメージはさほど大きくはない。しかも、スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツといった成功者が数えきれないほどいるので、優秀な子どもほど起業の道を選ぶ傾向がある。うまくいかなければそのときに大企業にでも就職して、資金と経験を蓄積して再度チャレンジすることが十分可能な社会なのだ。
