(※写真はイメージです/PIXTA)

年収や肩書きだけでは、その人の本当の経済状況は見えてきません。非正規雇用で生活が苦しいと感じる人がいる一方、同じような立場でも「実家が太い」ことで、実は経済的な不安を抱えていない人も少なくありません。とくに都心部では、親から引き継いだ不動産や土地が、思わぬ形で“経済的セーフティネット”になっているケースもあります。

「都内ワンルームでひとり暮らし」年収380万円の契約社員

「年収は380万円ほどで、ボーナスはほとんど出ません。将来のことを考えると、不安がないといえば嘘になります」

 

そう語るのは、都内の出版社で契約社員として働く渡辺真理子さん(仮名・45歳)です。業界経験は長く、編集や進行管理などを任されていますが、正社員登用の見込みはありません。

 

仕事は好きで、人間関係にも恵まれています。しかし、雇用が不安定なことに加え、物価の上昇や将来の年金不安などを考えると「いつまでこの働き方を続けられるのか」と考えてしまうといいます。

 

それでも、真理子さんには“切り札”がありました。

 

「実は、実家が地上げの話に乗って、バブル期にかなり良い条件で土地を売却したんです。その後、親が買い直したビルを、今は私が相続することになっています」

 

真理子さんの実家は、かつて都内の下町にありました。1980年代後半の“地上げブーム”の際、デベロッパーの買収に応じるかたちでまとまった金額を得た両親。その資金で購入したのが、都内の繁華街にある3階建ての雑居ビルでした。

 

当初は貸店舗として運営しており、現在も1階と2階にはテナントが入り、安定した賃料収入が得られているといいます。ビルの名義は高齢の母親ですが、「ゆくゆくは私が管理していくことになると思います」。

 

真理子さん本人には、株式や投資信託といった金融資産はほとんどありません。月々の収入は慎ましく、節約生活も当たり前。スーパーの値引きシールを見て買い物をする日常に、贅沢はありません。

 

それでも、「資産状況」という観点では、話は別です。

 

ビルの不動産価値を試算すれば、土地・建物をあわせて約3億円以上になる可能性があると、家族ぐるみで相談している不動産会社からも言われたといいます。

 

「資産を全部売却すれば…とは思いますが、父が他界した今、このビルは母との思い出が詰まった場所でもあるので、簡単には手放せません」

 

 \1月20日(火)ライブ配信/
調査官は重加算税をかけたがる
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※本記事のインタビューではプライバシーを考慮し、一部内容を変更しています。

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