「契約を取ってこその営業マン」…確かに間違ってはいないかもしれません。しかし、数字至上主義のままでは、思わぬ最後が待っているかもしれません。見ていきましょう。

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「営業マンは数字が命」…59歳営業部長の主張

Aさん(仮名・当時59歳)は、大手企業で営業本部長を務めていた会社員。年収はピークで1,500万円、役職定年後もなお1,000万円を稼いでいました。妻は専業主婦、長男は海外勤務、娘はすでに結婚。誰が見ても順風満帆なキャリアと家庭を築いてきたように見えました。

 

学生時代は野球に打ち込んだ根っからの体育会系。「実力主義」「数字を取れる人間がえらい」という価値観を体現してきました。会議で部下が弱気な数字を出せば、「そんな目標で食っていけるのか」と机を叩く。顧客の前で言い訳をした社員を、商談の帰りに営業車の中で1時間叱責し続けたこともあるほどです。

 

Aさんにとって「指導は愛情」。自分がそうされて育ってきたからです。営業部の飲み会では「数字を取れないのに、なんでここにいるんだ」と半ば冗談のつもりで語り、場を凍らせることもありました。

 

しかし時代は変わります。ハラスメント研修が行われ、会社は威圧的な指導を問題視するようになります。Aさんも表面上は態度を改めましたが、部下に質問されれば「ちゃんと自分で考えているのか?」と突き放し、若手社員が出したアイディアも切り捨てる。そんな偉そうな空気は最後まで抜けませんでした。

 

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