(※写真はイメージです/PIXTA)

物価高や低賃金、親の介護など理由はさまざまですが、世代をまたいだ同居は、時に深刻な軋轢を生むこともあります。特に「親の家に子どもが住む」構図の場合、どちらが生活の主導権を持つのか、微妙なバランスの上に日々が成り立っているのです。

「ずっと我慢してた。でも、もう限界だ。」

佐伯慎一さん(仮名・40歳)は、10年前から父・幹夫さん(仮名・67歳)と二人で暮らしています。母は既に亡くなっており、姉は結婚して家を出ました。

 

大学卒業後、数年は企業勤めをしていた慎一さんですが、体調を崩して退職。以降は非正規雇用や短期バイトを繰り返す生活が続きました。ここ数年は無職に近く、生活費は幹夫さんの年金(厚生年金+企業年金で月約20万円)と慎一さんのわずかなアルバイト代でなんとかまかなっていました。

 

「ただいま」と帰宅したある晩、キッチンで顔を合わせた幹夫さんは、無言のままテレビを見続けました。慎一さんが「何かあった?」と尋ねると、父はぼそりとつぶやきました。

 

「お前の顔、見るのもしんどいんだよ」

 

言葉の意味がすぐには理解できず、慎一さんは固まりました。

 

「ずっと、ずっと我慢してた。でも、もう限界だ。40にもなって働かず、家にいて、何を考えてるんだ? 一緒にいると、俺まで壊れそうだ」

 

幹夫さんは、言葉を絞り出すようにそう語りました。

 

それまで幹夫さんは、慎一さんに対して厳しいことを言うことは少なかったといいます。むしろ、「しっかり休め」「焦らなくていい」と気遣う場面も多く、慎一さんも「この家にいてもいい」と思い込んでいた節がありました。

 

しかし、父の年金は今後減少していく可能性があり、物価高や医療費の増加など、幹夫さんなりに将来への不安を強く抱えていたのです。

 

家事は幹夫さんがほとんど担っており、慎一さんは日中も自室にこもりがち。生活時間もずれており、会話は月に数回という時期もありました。

 

一見、衝突のない静かな生活のようですが、「自分ばかりが負担している」という感覚は、年を重ねるごとに幹夫さんの中で大きくなっていったといいます。

 

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※本記事のインタビューではプライバシーを考慮し、一部内容を変更しています。

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