(※写真はイメージです/PIXTA)

物価高や低賃金、親の介護など理由はさまざまですが、世代をまたいだ同居は、時に深刻な軋轢を生むこともあります。特に「親の家に子どもが住む」構図の場合、どちらが生活の主導権を持つのか、微妙なバランスの上に日々が成り立っているのです。

「この家から出ていってくれ」

1週間後、幹夫さんは慎一さんにこう告げました。

 

「悪いけど、この家から出ていってくれ。もう一緒には暮らせない。俺は俺で、最後は静かに暮らしたい」

 

実家の名義は幹夫さんであり、慎一さんの居住は“親の厚意によるもの”という扱いでした。法的に明確な権利があるわけではなく、幹夫さんが「出ていってほしい」と告げれば、それに逆らうのは難しい立場でした。

 

しかし、現実問題として、慎一さんには貯金も住まいも仕事もなく、家を出た後の生活の見通しが立たないのも事実です。

 

このような「高齢親子」の同居問題は、近年ますます顕在化しています。特に子どもが無職・非正規である場合、生活保護の申請も「同居親族の扶養義務」によって却下されることがあるため、支援の網からも漏れがちです。

 

また、高齢の親が亡くなった後、実家を相続できない(=居住権がない)子が突然“住まいを失う”ケースもあり、親の生前から「住まいと生活費」の話し合いが不可欠です。

 

もし、親と同居を続ける意志があるのであれば、遺言や家族信託、不動産の共有名義化などの備えが必要です。

 

結局、慎一さんは数ヵ月後に実家を出て、福祉事務所の紹介でシェルターのような施設に一時的に入居しました。その後、福祉職員のサポートで簡易宿泊所を経て、生活保護の受給につながったといいます。

 

「父と絶縁したことが、いいことだったとは思いません。でも、あのとき何も言い返せなかったのは、どこかで自分でも、わかっていたんだと思います」

 

そう静かに語る慎一さんの表情には、10年間の“沈黙の意味”がにじんでいました。

 

 \5月2日(土)-3日(日)限定配信/
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※本記事のインタビューではプライバシーを考慮し、一部内容を変更しています。

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