無理な要求を繰り返す顧客、度が過ぎた発言をするお得意様……。多くの販売員が、日々の接客で「お客様との距離感」に悩んでいます。元ルイ・ヴィトン トップ販売員である土井美和氏も、かつて同じ問題に直面し、ある“大きな決断”を下した経験があるといいます。『「自分」というブランドを売る 元ルイ・ヴィトン トップ販売員が大切にしてきたこと』(大和出版)より、実体験をもとに「顧客との適切な距離感」を維持するコツを紹介します。
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育てたようにお客様は育つ
あなたの大切な人、長い付き合いの友人を思い浮かべてみてください。きっとその人には、どこか尊敬できる部分があるのではないでしょうか? リスペクトを感じ合えるからこそ、よい関係を長く続けられるのだと思います。
こうしたリスペクトは、お客様との関係にも通じるものがあります。かつては「お客様は神様」という言葉の元、「お客様の言うことは絶対」という風潮がありましたが、無理な要求や過剰なサービスに対応することは、その場はよくてもいずれ無理が生まれてしまいます。お客様に直接対応するスタッフの心の負担にも繋がり、その関係は長くは続かないと思うのです。
その対応が、お客様の「当たり前」をつくる
私の実家には長年、相田みつをさんのカレンダーが飾られていました。心にスッと入るたくさんの言葉がある中でも、印象に残っているものに「育てたように子は育つ」があります。
まさに「育てたようにお客様も育つ」のだと思うのです。少々理不尽でも「お客様は神様」と全てに応じ続けていると、それが当たり前になり、要求がエスカレートしていきます。
誠意ある対応は大前提ですが、「できること」と「できないこと」を明確に伝えるのも、健全な関係には必要です。それがお互いリスペクトを持って、長くお付き合いしていくことに繋がるからです。
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株式会社Clienteling Advisory
代表取締役
2001年、ルイ・ヴィトンジャパンに入社。2012年、日本全国で顧客保有数No.1の実績を獲得し、それ以来150名以上の顧客ポートフォリオを継続的に担当する。長年の現場経験で培った「選ばれ続ける信頼関係づくり」のノウハウをもとに、現在は全国各地で研修・講演活動を行っている。
2024年には、中国を代表するラグジュアリースキンケアブランドの依頼を受け、上海にて初の海外研修を実施。日本国内だけでなく、海外展開にも力を注ぐ。これまでに、業界を問わず100回以上の講演実績があり、販売員の「お客様と長くつながる力」を育てる研修に定評がある。
著書『元ルイ・ヴィトン顧客保有数NO.1 トップ販売員の接客術』『元ルイ・ヴィトン トップ販売員の 接客フレーズ言いかえ事典』(大和出版)は、累計4万部のロングセラーとなっている(2025年9月現在)。また、『トップ販売員の接客術』は2025年2月に中国版電子書籍を刊行、2026年1月に英語翻訳版の出版を予定している。
著者プロフィール詳細
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連載元ルイ・ヴィトン トップ販売員が伝授…「選ばれる人」が当たり前にしていることとは?