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急増する超富裕層
米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の最新調査によると、アメリカには現在1135人のビリオネア(純資産10億ドル以上)が存在しており、その総額は5.7兆ドル(約800兆円)にのぼります。これは日本のGDPや国家予算をはるかに上回る規模です。
2020年時点で927人だったビリオネアは、2024年までの4年間で約22%増加しました。居住地のトップはカリフォルニア州で225人ですが、大都市に限らず、ミシシッピ州リッジランドやウィスコンシン州ワナキーといった地方都市にも多く暮らしています。
全体の86%を男性が占めますが、歌手のテイラー・スウィフトさんをはじめ150人以上の女性ビリオネアも存在します。30歳未満では、コーク・インダストリーズの後継者メアリー・ジュリア・コーク氏やデービッド・コーク・ジュニア氏が代表的です。ウォルマート創業家のウォルトン家、ハイアットのプリツカー家といった“財閥型”の一族も健在です。
イリノイ州知事のJ.B.プリツカー氏やトランプ前大統領のように相続で地位を築いた人物がいる一方、自力で資産を築いた例も少なくありません。屋根材ビジネスで成功したダイアン・ヘンドリックス氏がその代表例です。最高齢は保険会社メルカリー・ジェネラルを創業したジョージ・ジョセフ氏で、104歳を迎えています。
資産ランキング
資産ランキングでは、イーロン・マスク氏が4,230億ドル(約60兆円)で首位、ジェフ・ベゾス氏が2,830億ドル、マーク・ザッカーバーグ氏が2,520億ドルで続きます。上位3人だけで1兆ドル(約150兆円)、上位100人で3.86兆ドルを保有しており、全体の半分以上を占めています。
業種別ではシリコンバレーのハイテク関連が目立つものの、実際に最も多いのは金融業で約300人です。不動産で成功したのは約75人、また全体の3分の1は相続によって富を受け継いでいます。
慈善活動の実像
米国の富豪は寄付活動に積極的というイメージがありますが、実態は二極化しています。ビル・ゲイツ氏やウォーレン・バフェット氏のように巨額の寄付を続ける人物がいる一方で、過去10年間で100万ドル(約1.5億円)すら寄付していない人も全体の4分の1にのぼります。
寄付先としては教育や医療分野が多いです。投資家ビル・アックマン氏は自身が受託人を務める医療基金に13.6億ドルを寄付しました。ニューヨークのセントラルパーク保存団体には89人のビリオネアから計1億ドルが集まっています。ジョンズ・ホプキンス大学は30人のビリオネアから75億ドルを受け取りましたが、その大半(50億ドル)はマイケル・ブルームバーグ氏によるものです。
格差拡大と日本への示唆
ビリオネアの数は年々増加していますが、それに伴い世界的な格差拡大も深刻化しています。経済学者トマ・ピケティ氏は著書『21世紀の資本』(2013年)で富裕税の必要性を訴え、こうした傾向に警鐘を鳴らしました。
一方、日本では米国のようなトラスト制度がなく、相続税負担が重いのが実情です。そのため、一代で資産を失う富裕層も少なくありません。こうした事情から、資産を守るために米国への移住を模索する日本の富裕層が増えているのが現状です。
税理士法人奥村会計事務所 代表
奥村眞吾
