極端な倹約生活…その果てに
就職して一人暮らしを始めると、会社から遠く、ボロボロの狭い古アパートをあえて選択して家賃は月3万円。もやしと鶏肉中心の自炊で、昼食は自作の弁当持参。外食には見向きもしません。移動は自転車や徒歩が基本で、冷暖房費節約のため、エアコンはほとんど使わず、衣類で調整していました。
職場恋愛で結婚した妻は、そんな鈴木さんのよき理解者でした。子どもが生まれてからは少し倹約のトーンは和らぎましたが、家族のおでかけは近所の公園や河川敷でピクニック。マイホームもマイカーも持たず、旅行は激安パックプラン。家計簿はきっちり。二人三脚で貯蓄を積み上げました。
こうした努力の甲斐あって、貯金は6,500万円超に到達。これまでの苦労は、「いざというとき」「老後の安定」のための生きた資産だと思っていたといいます。
しかし、65歳を迎えた直後、妻が病に倒れ、66歳で他界。鈴木さんは深い後悔に苛まれました。
「妻が元気なうちに一緒に旅行や食事を楽しめばよかった。時間は戻らない。お金だけ残って、いったいどうするんだ……」と、取り返せない日々を悔やんだのです。
妻にとっては、倹約を共有する生活が安心や幸せにつながっていたかもしれません。しかし鈴木さんには、消えることのない深い後悔が残りました。
老後資金を蓄えることは重要ですが、「貯めること」だけに固執すると、人生の大切な時間を取り戻せなくなる危険があります。健康で元気なうちに、資産を使いながら豊かに生きるバランスこそが、真の老後の幸せにつながるのです。
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