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なぜ日本だけが課税を続けるのか
日本には、アメリカをはじめ海外には存在しない独特の税金が少なくありません。自動車重量税、揮発油税、印紙税、電源開発促進税、登録免許税、狩猟税、軽自動車税、入湯税などがその例です。その中でも特に異質なのが「ゴルフ場利用税」です。
この税は地方税に位置づけられ、利用者が都道府県に納め、その7割が市町村に配分されます。18歳未満と70歳以上のゴルファーは非課税ですが、それ以外の利用者には一律で課税されます。
政府内で割れた見解
国会で議論となった際、当時の総務大臣は「ゴルフ場は山間部に多く、アクセス道路の整備や維持管理に必要な財源である」と答弁しました。しかし、道路整備は本来、自動車関連税やガソリン税で賄われるべきであり、ゴルフ利用者に限定して負担を求めるのは筋が通りません。
一方、文部科学大臣は「ゴルフはもはや富裕層の特権ではなく、多くの国民が楽しむ生涯スポーツだ。スポーツ振興の観点からも課税は廃止すべきであり、消費税との二重課税にもあたる」と主張しました。
さらに財務大臣も「オリンピック種目に税金をかけるのはおかしい」と疑問を呈しています。
ゴルフはスポーツではなく「ゲーム」
それでも存続している背景には、過去の司法判断があります。かつて「スポーツへの課税は違憲ではないか」と争われた裁判で、裁判所は「ゴルフはスポーツではなくゲームである」と結論づけました。ハンディキャップ制度の存在が「スポーツとして不自然」とされたためであり、この判決が現在も課税の根拠とされています。
しかし、ゴルフはすでにオリンピックの正式種目として国際的に認知されています。世界の常識からすれば「スポーツではない」という解釈は通用しません。導入した税を容易に廃止できないのは日本の税制の伝統ともいえますが、時代との齟齬を放置すれば、国際社会の失笑を招く可能性もあります。
税理士法人奥村会計事務所 代表
奥村眞吾
