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共和党と民主党の「泥沼政治合戦」
アメリカでは州レベルでの政治的対立が一層激しくなっています。
共和党州のテキサス州では、トランプ政権の指示のもと、特定政党に有利となる選挙区の区割り(ゲリマンダリング)が、次回の国勢調査を待たずに行われようとしています。この動きに対して、民主党州議員が議会決議阻止のため州外へ脱出する騒動も起きました。
これに対抗して、民主党州であるカリフォルニア州も、民主党議員に有利な選挙区変更を行う法案に州知事が署名しました。こうした動きは、民主党と共和党の泥沼の政治合戦を象徴しています。
富裕層課税の強化に動くBlue States
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報道によれば、民主党州(Blue States)は富裕層への課税強化に動いています。対象となるのは所得税、キャピタルゲイン税、そして高額別荘(Luxury Vacation Homes)に対する課税です。
パンデミック後、連邦政府からの補助が減少し、州の財政赤字が拡大しています。さらに、トランプ政権による「One Big Beautiful Bill Act(OBBBA)」でメディケアなど福祉関連予算が削減されたことも、課税強化の背景にあります。州はこれらを補填するため、富裕層への課税を強化しています。
各州の課税強化策は以下になります。
マサチューセッツ州:年収100万ドル(約1億4,700万円)の富裕層をターゲットに追加課税を実施。税収増加に成功。
コネチカット州・メリーランド州:年収50万ドル(約7,300万円)以上の納税者に住民税を引き上げ。
ワシントン州:キャピタルゲイン税率の引き上げを予定。
ロードアイランド州:「Taylor Swift Tax(テイラー・スウィフト税)」と呼ばれる課税制度を新設。別荘の不動産価値が100万ドル以上の場合に課税。テイラー・スウィフトが2013年に同州のWatch Hillに豪邸を購入したことが由来。
富裕層は州を離れない?
一般には「税金が上がると富裕層は州を離れる」といわれますが、過去の統計を見ると必ずしもそうではありません。多くの場合、地域経済との結びつきや家族の学校環境などが影響しています。ただし、相続税の重い州から軽い州へ移る老齢の富裕層は例外です。
カリフォルニア州は全米でも富裕層が多い州です。州には相続税はありませんが、年所得75万ドル(約1億1,000万円)を超えると住民税の最高税率は12.3%、さらに年収100万ドルを超えるとMental Health Service Taxなどが加算され、最高税率は14.63%になります。これに連邦税37%を加えると、合計で51.63%に達します。
それでも、多くの富裕層はカリフォルニア州から移転せず、海岸沿いの温暖な気候などを理由に留まっています。サウスベイの住民の中には、「この気候を高い住民税で買っている」と語る人もいます。
税理士法人奥村会計事務所 代表
奥村眞吾
