(※写真はイメージです/PIXTA)

「働いているのに生活が苦しい」と感じる若者が増えています。非正規雇用や低賃金に加え、都市部の家賃や物価の高さが追い打ちをかけ、収入の大半が生活費に消えていくケースも珍しくありません。一見すると“普通に暮らしている”ように見えても、日々の支出に追われ、将来の展望も持てない――。そんな見えない貧困が、20〜30代の単身者の間で静かに広がっています。

コンビニすら「贅沢」に——手取り18万円の現実

「今日はスーパーで半額になった弁当だけです」

 

そう話すのは、都内の中小企業に勤務する圭介さん(29歳)。フルタイムで働き、平日は朝9時から18時まで勤務していますが、手取りはおよそ18万円。家賃が月8万円を占め、残りの生活費はわずか10万円です。

 

「水道光熱費が月2万円、スマホ代が7,000円。残りで食費や日用品をまかなうと、ほとんど余裕はありません。昼食はおにぎり1個、夜は袋ラーメンが多い。誰かと外食するなんて、もう何ヵ月もしていません」

 

彼が住んでいるのは築30年以上の1Kアパート。防音性は低く、冬場はエアコンの電気代を考えて毛布にくるまりながら耐えているといいます。

 

圭介さんは大学卒業後、正社員として就職。しかしコロナ禍で業績が悪化し、2021年に契約社員に転じました。現在の職場も非正規雇用。賞与もなく、昇給の見込みもないといいます。

 

「実家は地方ですが、親とは折り合いが悪くて…。それに、地元では希望するような仕事がなかなか見つからず、東京に残るしかないと思いました」

 

月末になると預金残高は1万円を切り、「明日を生き延びるための生活」を続けています。

 

圭介さんのような低所得の単身者は、生活保護を検討することもありますが、実際にはハードルが高いのが現実です。

 

生活保護は、「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する制度ですが、親族の扶養照会が行われることや、自治体窓口での心理的なハードルが申請の壁となっています。厚生労働省の資料によると、生活保護受給率は全体で1.6%程度と、OECD諸国の中でも極めて低水準です。

 

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