大企業勤めで、資産6,000万円、年金月35万円の恵まれた老後
小松隆二さん(仮名・75歳)は大企業で部長職までのぼり詰め、10年前に定年退職。3歳年下の妻と2人で暮らしています。退職金は4,000万円。自分で貯めた資産2,000万円と合わせると6,000万円と、65歳の時には豊富な資金を持っていました。
さらに、企業年金を含めた夫婦の年金収入は月35万円と生活費をまかなうには十分で、老後の暮らしに一切不安はありませんでした。40代のときに購入したマンションの住宅ローンをすでに完済していたことも、安心材料のひとつです。
そんな隆二さんはお酒が大好き。現役時代から部下と一緒によく飲みに出掛けていました。気心の知れた仲間と飲みながら話すことが、隆二さんのストレス解消法だったのでしょう。
退職をしてからも、月に1度は特に仲のいい元部下たちと飲みに行く機会を作り、定年後の会社の様子を聞いたり、昔話に花を咲かせていました。支払いの多くは、年上である隆二さんが買って出ていました。
それ以外にも、部下が定年退職する際には仲間を集めてお祝いしていました。部下に対する感謝やお祝いの気持ちから、そのお金も隆二さんが支払っていたといいます。
また、健康のために好きだったゴルフも続けていました。ゴルフ仲間は隆二さん同様、定年退職したリタイア組。現役時代から付き合いのある人ばかりで、心置きなくコースを回れることが楽しかったようです。
「退職した後は退屈する」というシニアも多い中、隆二さんは現役時代からの顔の広さ、人好きな性格で、仲間たちとの付き合いが途絶えない楽しい老後を送っていました。しかし、その裏で、危機はじわじわ迫っていたのです。
