税理士から告げられた「衝撃の事実」
その後、相続税申告のため税理士に依頼したところ、実家の土地は「約1億円」もの価値があることが判明。実は浩一さんの実家は、東京都杉並区に建つ一軒家だったのです。
税理士は渋い顔をして、浩一さんに次のように言います。
「ご実家の土地の評価額がおよそ1億円ですから、建物とその他の財産を合わせると、約1,000万円の相続税がかかります」
耳を疑う相続税額に、浩一さんは驚きを隠せません。
「え、い……1,000万円!? こんなボロ屋が!? そんな、なにかの間違いでしょう。それに、父の通帳にはたった50万円しか入っていなかったんですよ? そんな大金、私の家にはありません」
妹が告げた「私はなにもいらない」の真相
税理士から聞いた話を妹に伝えた浩一さん。「1,000万円なんて払えない」と相談すると、妹は冷めた目で淡々と話し始めました。
「実は……。父の預金が少ないのは、土地は兄さんに継がせるからって、父さんは私に預金を生前贈与してくれていたからなの。だからこのあいだ言ったでしょ、今回の相続では私はなにもいらないって。だから、相続税はお兄ちゃんがどうにかして」
首都圏の地価高騰がもたらす弊害
近年、東京の不動産価格は高騰が続いています。2010年を超えたあたりから上昇しはじめ、2020年以降は輪をかけて高騰。特に、東京23区の人気のある町では上昇率が高くなっています。
不動産を所有している人にとって、土地の価格が上昇することは喜ばしいケースが多いでしょう。しかし、不動産価格の上昇にともなって土地の評価額が高騰することで、相続の際に税負担が増すなど、思わぬ弊害が生まれているのも事実です。
相続税の土地の評価方法は、路線が設定されている市街地の土地には「路線価方式」が、路線価が設定されていない郊外の土地には「倍率方式」が用いられます。浩一さんの実家は杉並区ですから、路線価方式で評価され、自宅に面している道路に付された「路線価×面積」により求めることができます※。
※ なお、路線価図の詳細は、国税庁のWEBサイトで確認することができます。
