「旅行の記憶」は残ったが…「想定外」の備えも必要
厚生労働省『簡易生命表』(2024年)によると、70歳男性の平均余命は15.6年。誠一さんのように、老後の早い時期にお金を多く使ってしまい、長寿によって生活が立ち行かなくなる“長生きリスク”は、近年注目されています。
「妻との旅行は、人生で一番楽しかった時間です。後悔しているわけじゃありません。だけど、正直言えば、もう少し計画的に使うべきだったとは思いますね。70歳を目前にしてこんなに不安になるとは…」
そう語る誠一さんは、いま再び家計簿をつけ直し、趣味も見直しながら、節約を意識した日々を送っているそうです。リバースモーゲージや、シニア向けの就労制度も検討中とのこと。
老後資金に余裕があっても、「生きている限り、生活費はかかり続ける」という現実から逃れることはできません。贅沢をすること自体は否定されるべきではありませんが、寿命が延びているいま、70歳以降の人生設計にも慎重さが求められます。
旅行の思い出と引き換えに、誠一さんが手にした「老後の現実」。それは、豊かさと不安が背中合わせの時代に生きる私たちにとって、決して他人事ではないのかもしれません。
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