「年金があるなら、少しは生活に余裕があると思っていた」
東京都内で暮らす西村真理子さん(仮名・37歳)は、非正規の事務職として働く女性です。月収は手取りで20万円ほど。数年前に職場の人間関係に疲れ、心身の不調から一人暮らしをやめ、実家に戻ってきました。
「両親も高齢になってきたし、家賃の負担がなくなることで少し気持ちにも余裕ができるかな、と思っていたんです。母は厚生年金を受給していますし、父も企業年金とあわせて月25万円ほどの収入があると聞いていたので」
当初は、親子3人での生活は「悪くない」と感じていたといいます。家事を分担し、食費や光熱費として月3万円を実家に入れつつ、自分の生活は自分でまかなうスタイルでした。
ところが、数ヵ月が経つ頃から、母親からの言動に徐々に違和感を抱くようになります。
「『昼まで寝てるなんてありえない』『そんな格好で外に出ないで』と、生活全般に細かく口出しされるようになって。私が料理をすれば味に文句をつけ、洗濯物の干し方にもいちいち注意してくるんです」
真理子さんが仕事から帰宅して、疲れて横になると「社会人なのに、だらしない」と叱責され、逆に休日に出かけようとすると「女がひとりでふらふらするもんじゃない」と止められる。
「最初は“心配してくれているんだな”と思っていたんですが、だんだん、自分の行動がすべて監視されているような気がしてきました」
父親はその様子を見て見ぬふり。母親の言葉に同調こそしないものの、「家に住ませてもらっているんだから、少しは我慢しろ」と真理子さんにだけ耐えることを求めるようになりました。
