(※写真はイメージです/PIXTA)

年金収入だけでは将来が不安だと感じ、副業や投資に踏み出す高齢者が増えています。とくに孫の教育費や家族の援助のために働き続けようとするシニアも少なくありません。しかしその善意や焦りにつけ込む悪質な詐欺が後を絶たず、退職金や老後資金を失う深刻な被害も発生しています。今回は、“家族のため”の思いが裏目に出てしまった夫婦のケースを紹介します。

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焦らず相談を…制度の活用も視野に

高齢者を狙ったこうした詐欺の相談は、年々増加傾向にあります。

 

詐欺の手口も巧妙化しており、公式サイト風のページやSNS広告、ZoomやLINEでの面談などを駆使し、信頼関係を作ってから高額契約に誘導するケースも見られます。

 

「孫のために」「家族のために」という優しさや責任感が、皮肉にも被害につながる──。そんなリスクを防ぐためには、家族間で金銭や支援の話題を日頃から共有し、ひとりで決めず、疑問があればすぐに専門機関に相談することが何より大切です。

 

たとえば、各自治体の「地域包括支援センター」や「消費生活センター」、高齢者の暮らしをサポートするNPO団体、法テラスなどでは、無料で相談を受け付けています。金融庁や国民生活センターの詐欺情報も定期的にチェックしておくと安心です。

 

また、孫の学費や老後の生活費が不安な場合には、「教育資金の一括贈与制度」や「老後資金に関する生活設計相談窓口」といった制度の利用も検討すべきでしょう。

 

小川さんは、節子さんと話し合い、今後は「もう少し調べてから動くようにしよう」と心に決めました。

 

「いくつになっても役に立ちたいという気持ちはあるんです。それ自体は悪いことじゃない。だからこそ、冷静さを失わないようにしたいですね」

 

高齢者の「思いやり」を逆手に取る詐欺が増えている今、家族や地域のつながり、そして行政のサポート制度が、老後の安心を守る鍵となるのではないでしょうか。

 

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