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「初心者でも月20万円の副収入」のはずが…
都内に住む元国家公務員の小川隆さん(仮名・73歳)は、70歳で完全退職。現在は妻の節子さん(70歳)と年金月28万円で慎ましく生活を送っていました。
持ち家は築40年以上ながら、すでにローンは完済。二人とも大きな持病もなく、老後資金にもある程度の余裕がある──はずでした。
「心配だったのは、孫の進学費用でした。大学が私立に決まったと聞いて、初年度納付金で150万円以上必要と…。息子夫婦にも余裕がないことはわかっていましたし、“じいじが少し助けてあげられたら”と思ったんです」
そこで小川さんは「年金の足しに、少しでも副収入を得られたら」と考えるようになりました。
ある日、スマホに表示された広告に目が止まりました。
「初心者歓迎、1日30分で月20万円の副収入」──。クリックすると、副業支援のLINE登録を促すページに誘導され、登録後すぐに“専属コンサルタント”と名乗る人物から電話がかかってきたといいます。
「『退職後の年金生活者の方が一番成功しています』とか『今すぐ申し込めば先着キャンペーンで初期費用が半額になる』とか、どんどん言葉巧みに…」
最初は2万円程度のマニュアル費用だけだったはずが、コンサル指導費や“自動収益化システム”と称する名目で、次々と追加費用を請求され、最終的には100万円以上を振り込んでしまったとのこと。
「“これは詐欺ではないのか”と妻に言われた時、初めて現実に戻ったような気がしました。でももう遅かった。連絡は取れず、LINEもブロックされて…」
「家族に言えなかったんです。何より、信じたかったんでしょうね。年金だけじゃ不安だったし、誰かを助けるために自分が役に立てると思ったら、うれしかった」
小川さんはようやく節子さんに相談し、二人で消費生活センターに足を運びました。現在は警察への被害届提出も終えていますが、「返金は難しい」と言われています。
「節子には“責めないでくれてありがとう”と伝えました。でも、やっぱり自分が情けないですよ」
