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「帰るつもりがない…?」滞在が続く娘と孫に募る不安
「最初は“夏休みだけ”のつもりだったんです。でも、9月が近づいても帰る気配がなくて…」
東京都内の集合住宅で暮らす70代夫婦の佳子さん(仮名)は、困惑した表情でそう語ります。
7月半ばから、地方で暮らす長女の裕美さん(仮名・39歳)とその息子(8歳)が「ちょっと気分転換に」とやって来て、佳子さん宅で夏休みを過ごすことになりました。当初は数週間の予定で、荷物も小さなスーツケースひとつ程度。しかし、8月を過ぎても娘は帰らず、いつの間にか押し入れも冷蔵庫も娘一家の物で埋め尽くされていました。
「『そろそろ学校も始まるんじゃない?』って聞いても、『こっちでも転校できるし』なんて、妙に話が具体的で…。胸騒ぎがしたんです」
娘が居候生活を当然のように続ける姿に、佳子さんと夫の正雄さん(仮名・74歳)は次第に疲弊していきました。
佳子さん夫婦の生活は、2人合わせて月24万円の年金でまかなっています。外食や旅行は控え、慎ましくも落ち着いた老後生活を送っていました。
そこに加わった娘と孫の生活費。食費・水道光熱費は目に見えて増え、孫のために買う日用品も少なくありません。長女は生活費を一切入れておらず、「あとで送金するから」と言いながら、結局支払いは両親持ちのままでした。
「娘も大変なのはわかります。でも、こっちもギリギリで生活してるのに…と、つい思ってしまって。情けないけど、つらかったです」
9月目前、佳子さんが意を決して「そろそろ帰ったらどう?」と切り出したとき、長女から返ってきたのは、思いもよらない言葉でした。
「もう帰る家、ないの」
長女の裕美さんは、夫と離婚調停中で、勤めていた会社も体調を崩して退職済み。今のところ、収入は児童扶養手当とわずかな貯金だけ。実家に「しばらく住まわせてもらうつもり」でいたのだと言います。
「全部話されたときは、正直、頭が真っ白になりました。助けてあげたい。でも、ずっとこの生活が続くのかと思うと、気が重くて…」
