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新技術「MIM」という壁
ここで、順序は前後しますが、MIMの製造工程を解説しておきます。
見比べれば分かるとおり、MIMの製造工程はロストワックス精密鋳造に近いといえます。決定的に違うのは、「ワックス」の代わりに「有機バインダに金属粉末を練り込んだもの」を金型にそのまま射出成形すること。ロストワックス精密鋳造のように何層にも及ぶセラミックコーティングで鋳型を作る必要がなく、金型に直接射出することで成形できるため、ロストワックス精密鋳造より工程が半分以下になり、その分生産性が高いといえます。
しかも、どんなに複雑で細かい形状でも表面を美しく高精度で仕上げることができます。最大のメリットは、ステンレスや工具鋼といった比較的硬い金属だけでなく、タングステンやコバルトなどを含有する、ダイヤモンドの次に硬いといわれる超硬合金や特殊なセラミックまで、プラスチック成形のように簡単に部品を作れることです。
とはいえ、上で説明したような知識を1988年当時の私はまだ身に付けていませんでした。ただ、このMIMという製法を使えば、あらゆる金属であらゆる成形体が作れるそうだ、ということを伝聞情報で知ったにすぎません。しかし、それでも、R精機の人が言っていたとおり、近い将来ロストワックス精密鋳造の多くがこのMIMに置き換わるだろうことは容易に想像がつきました。だとすれば、そうなったときに仕事を失わないよう、私たちも一刻も早くこのMIMの技術を修得しなければなりません。
ところがその当時、MIMを実用化している企業は国内に数社しか存在しませんでした。MIMの製法はアメリカで特許を取得しており、この技術を導入したい場合には、MIMの特許を持つアメリカ企業の日本総代理店から技術と材料(金属粉末+有機バインダと呼ばれる樹脂)を購入しなければなりません。その技術料は当時数億円といわれました。もちろん、私たちのような中小企業が購入できる金額ではありません。
そうなれば、どうするか。ここはやはりキングインベストらしく、自力でなんとかしなければならないと考えました。自分たちでMIMを研究し、自分たちでMIMを実用化しようと考えたのです。
戸田 拓夫
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