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ロストワックスに代わる、MIMという画期的な金属加工法開発に着手
1987年6月のある暑い日、得意先回りに出ていた営業マンが気になる情報を持ち帰ってきました。R精機という大口顧客の窓口担当者を訪ねたところ、ピカピカ美しく光る鋼鉄製の部品を営業マンに見せながら「キングインベストさんはこういう部品、作れるの?」と、いきなり聞いてきたのだそうです。よくよく話を聞いてみると、その部品をR精機に持ち込んだのは、これまで付き合いのなかったUという金属系商社の人間で、「今までにない画期的な金属加工法がアメリカで開発され、その日本での総代理店を弊社が担当することになったので、今日はそのご案内とご挨拶にうかがいました」と言って、その部品を置いていったそうです。その部品サンプルをR精機の担当者がウチの営業マンに貸してくれたので、私もつぶさに観察することができました。
見ると、なんの部品かは分かりませんが結構複雑な形状で、金属の表面はまるで削り出されたように美しくなめらかでした。しかも、それは削り出しで作られたものではなく、プラスチックのように射出成形で作られたものだと訪問者から説明されたそうです。
そのサンプルをウチの営業マンに手渡すとき、R精機の担当者はいたずらっぽく笑いながら、「御社もこれくらいの製品が作れないと、そのうちすべての仕事をこのアメリカ仕込みのUとかいう会社に持っていかれちゃうかもよ」と忠告してくれたとか。
その部品サンプルの完成度の高さを見ると、「それは大いにあり得る話だ」と私も危機感を抱かずにはいられませんでした。
各方面に声をかけ、金属関連の商社やメーカーから資料を取り寄せて調べ、それはMetal Injection Molding(メタル・インジェクション・モールディング)、通称MIM(ミム)と呼ばれる新しい金属加工法ではないかと判断しました。なんでもNASA(アメリカ航空宇宙局)で開発された新しい技術だそうです。ちなみにMIMは日本語訳では「金属射出焼結法」といいます。
