(※写真はイメージです/PIXTA)

骨密度の低下や骨質の劣化を招く要因はさまざまありますが、骨粗鬆症の最大の原因は「加齢」です。骨粗鬆症患者から「先生、骨粗鬆症と診断されてから牛乳をたくさん飲むようにしています。牛乳を飲めば骨が強くなって、骨粗鬆症もよくなるのですよね?」という質問をよく受けますが、これには大きな誤解が含まれています。本記事では、大村文敏氏の著書『ねこ背が気になったら骨粗鬆症を疑いなさい』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋・再編集して、加齢により骨粗鬆症が発生してしまう仕組みとその対策方法について、正しい知識を解説します。

「牛乳を飲んでいるから大丈夫」は誤解

毎日、多くの骨粗鬆症患者を診察していると、患者から「先生、骨粗鬆症と診断されてから牛乳をたくさん飲むようにしています。牛乳を飲めば骨が強くなって、骨粗鬆症もよくなるのですよね?」という質問をよく受けます。骨粗鬆症を発症していない人でも「自分は牛乳をたくさん飲んでいるから大丈夫」「ヨーグルトが大好きで、乳製品をこまめに摂取しているから骨粗鬆症になるはずはない」などと安易に考えがちです。

 

確かに牛乳やヨーグルトなどの乳製品には、骨の健康に必要なカルシウムがたくさん含まれています。多くの研究者や医師も「牛乳をたくさん飲むとカルシウムの摂取につながり、骨粗鬆症の予防に効果的である」ということを報告しています。

 

しかし、カルシウムを多く含む食品を多く取っているから大丈夫という考えは誤りです。乳製品を多く摂取していても、骨粗鬆症になることは珍しくありません。

 

そもそも「牛乳を飲むと骨が丈夫になる」という説は、1953年発行の「栄養と食糧」で発表された兼松重幸氏の論文が発端です。彼は人体における各種食品中のカルシウムの利用状況を明らかにするため、成人男子4人に4日間、小魚、牛乳、炭酸カルシウム、野菜の惣菜を食べてもらい、血中のカルシウム濃度を調べました。すると、牛乳はほかの食品に比べ、血中のカルシウム濃度を急激に上昇させることが分かりました。

 

ここから「牛乳のカルシウムは吸収がいい=カルシウムは骨を強くする=積極的に取るべきだ」という構図が出来上がったのです。

 

しかし残念ながら、牛乳をむやみにたくさん飲んでも骨によい影響はありません。人間の血液中のカルシウム濃度は8.5~10.5㎎/dLと一定に保たれているので、がんばって牛乳を飲んでも、この数値を超えて血中のカルシウム濃度が高くなると、体は拒絶反応を起こして増えすぎたカルシウムを排出しようとしてしまうのです。

 

このとき、カルシウムだけを排出するならまだよいのですが、ほかのミネラルも一緒に排出してしまいます。マグネシウムや亜鉛、鉄などほかのミネラルもカルシウムと一緒に無駄になってしまうのです。

 

牛乳を飲む場合、一日にコップ1〜2杯、200〜400cc程度が適量とされています。この範囲で摂取すれば、骨の健康を保つための栄養素をしっかり取り入れることができます。

 

牛乳をたくさん飲めば骨が強くなり、骨粗鬆症も防げるという考えは誤りなのですが、私は患者さんが「強い骨を作りたい」「骨粗鬆症を予防したい」と思う気持ちは尊重したいと思います。骨がスカスカの状態になってから、「カルシウムが足りない」「コラーゲンが足りない」と慌てても、手遅れの場合もあるからです。

 

だからこそ、骨がまだ元気で丈夫なうちに予防策を講じておく必要があります。いま、予防に取り組んでいれば、骨粗鬆症対策をまったくしてこなかった人とは、10年後あるいは20年後に確実に差が出ているはずです。

 

 

大村 文敏

高円寺整形外科 

院長

 

 

注目のセミナー情報

【海外不動産】12月18日(木)開催
【モンゴル不動産セミナー】
坪単価70万円は東南アジアの半額!!
世界屈指レアアース産出国の都心で600万円台から購入可能な新築マンション

 

【事業投資】12月20日(土)開催
東京・門前仲町、誰もが知る「超大手ホテルグループ」1階に出店!
飲食店の「プチオーナー」になる…初心者も参加可能な、飲食店経営ビジネスの新しいカタチとは?

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」

 

■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ

 

■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】

 

■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

本連載は、2025年6月20日に刊行された大村文敏氏の著書『ねこ背が気になったら骨粗鬆症を疑いなさい』(幻冬舎メディアコンサルティング)から一部抜粋・再編集したものです。

ねこ背が気になったら骨粗鬆症を疑いなさい

ねこ背が気になったら骨粗鬆症を疑いなさい

大村 文敏

幻冬舎メディアコンサルティング

骨からのサイン、見逃していませんか? 「年のせい」と思っていたそのねこ背 実は骨の異常が原因かも!? 人は加齢とともにさまざまな疾患の発症リスクが高まりますが、なかには自覚症状がないまま進行し、検査を受けて気…

カインドネスシリーズを展開するハウスリンクホームの「資料請求」詳細はこちらです
川柳コンテストの詳細はコチラです アパート経営オンラインはこちらです。 富裕層のためのセミナー情報、詳細はこちらです 富裕層のための会員組織「カメハメハ倶楽部」の詳細はこちらです 不動産小口化商品の情報サイト「不動産小口化商品ナビ」はこちらです 特設サイト「社長・院長のためのDXナビ」はこちらです オリックス銀行が展開する不動産投資情報サイト「manabu不動産投資」はこちらです 一人でも多くの読者に学びの場を提供する情報サイト「話題の本.com」はこちらです THE GOLD ONLINEへの広告掲載について、詳細はこちらです

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録